キセキU

□16.
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「ーーーー決めた」



「おや、中田君は何を決めたのかな」


高梨のこういうとこはどことなくイラッとくる。
でも4年も一緒にいれば人間慣れる生き物だな。



「さっきまでスマホ覗いてたのにいきなりどうしたの?」



水野。

美羽の友達。


あの頃は荒れてた俺を
ヤバいとこまでいったら高梨と一緒に止めてくれた。

セミロングだった髪は4年で
かなり伸び、美羽の象徴だったロングヘアが思い出されるようになった。



「四天宝寺の全国大会出場が決まった。」



「四天…?」



そりゃそうか。
聞いたことなかったよな。



「四天宝寺高校。大阪、いや、関西方面でテニス全国区の高校だ。それは中学から健在で、もはや関西では敵なし全国ベスト4の実力がある。」



「それがどうかしたの?」



「リョーマに電話した日に、全国大会に必ず来いと言われたんだ。つまり、全国大会に出れる実力のある高校に美羽はいるって意味だろ?」



「ふぅん、なるほどね。それを中田君は逆算して結果からそれを調べたってわけか。」



「ま、そういうことだ。」


「…じゃあ、美羽はテニス部に入ってるってこと…?」


「おそらくマネージャーだと思う。」



「美羽…」



水野は遠くをみつめるようにして上を向いて瞳を潤ませていた。

きっと水野にしかしていない話もあるんだろう。



「それで結果を見たら四天宝寺が優勝していた。それで確信したんだ。」



「じゃあその全国大会に行けば会えるってことか。」



「そう。もしかしたら会える、だけど、俺は行かないことにした」



「「え?」」



「俺は美羽が大切なんだ。幼馴染としかみてもらえてないけど、それでも俺は美羽しかみえてないし他のやつらに譲る気はさらさらない。だから、美羽が俺に会いに来ると言うのなら、俺はそれを待つしかない。」



「へぇ。中田君、かっこいいね」



「うん。すごいかっこいいよ」




美羽の気持ちをこれで尊重できたのかは分からない。


だけど、
俺だってずっと待ってるから。


たとえ幼馴染としかみてなくても。





俺の隣はずっと美羽だから。




「あたしは行くけどね」


「俺も行くけど」



…え。



「久しぶりに顔見たいし〜喋りたいし!」



「久しぶりにいじめたいしあの美形の崩れた顔を拝見したいな」



「ほんっと最低ねあんた」



「ん?そんなこと言っていいわけ?」



「何度でも言うわ。このピーーーーーー男!ピーーーのくせに!」



「うっわ、さすが女だな。男でもドン引きするような下ネタを恥ずかしげもなく使うなんて。」



「知らないわよ変態」



どっちがだよ。






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