キセキU

□16.
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「あと1ヶ月後には何があると思う?」



「………え?えっと、全国大会…?」



急だな、幸村君も。



「当たり。忘れていないようだね、丸井。」



「そりゃあな〜5度目だぜ?俺ら出んの。去年は圧巻の優勝だったしな!」



「それ自分で言いますかね普通!まっそういう結果だったし丸井さんの言いたいことは分かるっスけど〜」



「んだよバカ也!!」



「なっ!柳先輩っ!丸井先輩ひどくないっスか⁈バカ也って!」



「ふむ。丸井も悪いが、赤也も昨日の英語の小テスト、10点中1点だったそうじゃないか。」



「ゲッ!」



「赤也ぁっ!まだ中学生気分なのか貴様は!このたわけが!!!」



「うわぁんっ!柳先輩ひどいっス…」



「まぁまぁ。英語なら俺、教えてやるから。」



「ジャッカル先輩いいい」



「私も教えますよ」



「柳生先輩…!」



「数学なら教えるぜよー」



「げ。におー先輩…」



「なんじゃ、その反応」



「だってにおー先輩、いっつも勉強中に俺に意地悪してくるじゃないっスか…」



「気のせいじゃ。」



「家庭科だったら任せろよぃ!」



「いや、ないんでいいっスよ」



「先輩の厚意を受け取りやがれ!!!」




ま、こんなバカ騒ぎも今では慣れたもん。

真田もなんだかんだで楽しそうだし慣れたんだろ。



「皆。前回の全国大会はどう思った?」



「どう、とはどういうことだ?精市。」



「2年前の全国大会、忘れてないよね?」



その言葉に皆が俯いた。



忘れるわけがない、あの日。

忘れたくても忘れることなんて
絶対に出来ない。


胸に染み付いて離れない
あの時の敗北感。


残ったのは、空虚感と後悔だけだった。




『……立海テニス部が、全国三連覇できなかったらしい』




聞こえるその言葉にどれだけ悔しかったか。

どれだけ拳を振り上げようと思ったか。




どれだけ俺らが苦しかったかー…




こんな思いなんか一度で十分だ。

もう味わいたくない。



そして、高校では三連覇を成し遂げる。



それを目標に今があるんだ。




「俺たちは、あの時の悔しさがあったからこそ成長することができた。そして未だ発展途上だろう。それに、」




「俺たちを破った青学が決勝に上がることはまず不可能、というわけか。」



「ふふ、そう。前にも話したけど、去年同様青学はまずない。手塚、ゴールデンペア、越前君不在の中で俺たちに勝つことなど夢のまた夢。氷帝は、跡部、忍足をマークすれば勝つことは容易。四天も同様に白石だけだ。俺の言いたいこと、分かってくれるかい?」




え、いや、わかんねぇ。

つまり幸村君何が言いてぇんだ?



「なるほどな。」




ぼそりと仁王が呟いた。

けれど何故か顔が引きつっているような気がする。


おかしい。


ポーカーフェイスの仁王が。



「仁王、結局何が分かったんだよぃ?」



柳、柳生、真田は分かったのか下を向いて黙っている。



「幸村は俺たちを…」



ごくり、と喉がなった。

どうしてだろうな





「己の限界まで試すつもりなんじゃよ。」



「…は?」



意味わかんねぇけど。




「どーゆう意味っスか?だって、試合中にパワーアンクルをできるだけ外すなっていうのも普通にやってるんスよ?」



「ふふ。仁王は正解だよ。そして、赤也もいいとこついてるね。」



「幸村君、まさかー…」




柳生?




「全国大会はシングルスやダブルスはその日のコール直前にくじ引きで決める。そして、1つ条件を出す。」




「条件…?」



なんだよぃ条件って。

パワーアンクルだけで十分じゃねぇかよ幸村君!!!








「条件っていうのはねー…」











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