キセキU

□12.
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っつーことで、難なく敷地内に入れてもらうことができたわけ。


俺の手にかかれば余裕っスわ。

そういえばこの女、名前聞いてなかったな。



「なぁあんた、名前何て言うんや?」


「は…はぁ…名前…ですか」



あかん。

これ絶対さっき言ったこと信じこんで俺のこと引いとるパターンや。

本気で男のことなんか好きになるわけないやないですか。
こいつ東本なんにアホなんか?なぁ、あんたアホなんか???



「長谷川千沙都」


「漢字どんなん書くん?」


「えーっと千かいて…」



それからテニスコート着くまで喋った。

なんかよく分からんけど、他の女子とは違う一緒にいてもうざったくないタイプやと思った。

まぁそれは、某キング等と一緒におったりしたから他の女子とは違くなりそうやけどな。


長谷川サンは2年からマネ始めたらしい。
某キングに無理矢理やらされたのだとか。


無理矢理やのにずっと続けたっていうのはある意味尊敬や。



「着いた。ここだよ」


「普通やな」



ふつーのテニスコートが3面あった。



「あのね、普通じゃないテニスコートなんかないと思うんだけど?」


「俺らんとこなんか寺の中にあるんですわ。」



「へ、へぇ…いい環境じゃない。」


あ、ちょっと羨ましがっとるな。

チョロいチョロい。



「じゃ、じゃあ片岡君呼んでくるけど…あの…」



「はい?」



「あ、あたしはどんな恋も恋だと思ってるから!だから、あなたのこと!応援してる!」



「は、…あ、あぁ…」



一瞬何を言われてるのかわからんかった。

そういえば俺、片岡サンのこと好きな設定になっとるんやったな。



「ありがとな長谷川サン。決着つけてくるからな。」


違う意味での決着つけてくるんやけど。


「うんっ!」



なんかこの人、

あの人に似てますわ。

















さっきのことをTwitterに呟いてたりヘタレ先輩のツイート0の垢をスパムしまくってたら、後ろから足音が聞こえた。

ま、無視やけど。



「君が僕を呼んだ人?」


あれ。


「片岡蘭さんっスか?」


思ってた人と違った。

チャラチャラした雰囲気はあの美羽さんを連れ出した時と変わらないけれど、思ったより真面目っぽい。


一人称が「僕」やしな。


いや、それは関係あらへんか。



「初めまして、片岡蘭です。君のことは知ってるけど本人に改めて自己紹介してもらおうかな。」



ほぉ。

この人、なんや部長とよく似た雰囲気やな。



「四天宝寺高校テニス部1年財前光、この世で一番愛するものは善哉ですわ。よろしくお願いします。」



「ははっ財前君、クールな顔しといてなかなか面白いこと言うね。」



こいつ東本のくせにやっぱチャラついとんな。

ピアスの数は俺の方が勝っとるけどな!!



「大体予想はついてるけど、早速君の要件を聞いてもいいかな?僕たちは君たちと違って今少し余裕がないんだよ。」



「…俺が今から言うこと、分かっとるって言うんか⁈」



俺の無表情が少し崩れたからか、片岡は表情を更に緩ませた。


「可能性は一つしかない。細谷さんのことだろう?」


「…あんた、美羽さんのことについて何か知っとるんか?」


「細かいことまでは知らないけどね。だけどきっと君が知りたいことは教えてあげられると思うよ。」



「ほんなら、「けど財前君。本当に僕から聞いていいのかい?」…何がや。」



ここまで来たんに何ではぐらかされなきゃいかんのや。



「細谷さんが君たちに黙ってるってことは、それくらい隠したいことなんじゃないのかい?」



「…それは、」



「僕は別に言ってもいいけどね。そこだけ一応肝に命じてほしくて。それより、僕だけ何か言うなんてそんなことはないよね。」



やっぱこの人、部長にそっくりや。








「条件があるんだ。」







⇒あとがき
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