キセキU

□12.
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「…大阪⁈」



意味、わかんねぇ。



「うん、細谷は今大阪にいる可能性が高い。」


「どうしてンなことが分かるんだ?」


「ふふ、それはね〜」



水野が携帯で誰かに電話をかけた。

どこか楽しげだ。

けど、俺は頭の中がごちゃごちゃしてて整理がつかない。


なんで大阪?

つか、なんで俺に言わなかったんだよ…
幼馴染で、一番美羽にとって近い存在だと思ってたのに。


ーーーーーそんなに俺は頼りないかよ。



「あっ、やっとでた。遅いよ。はい、中田君」


「え、俺?」



電話の相手なんか予想できない。



まさかーーーー



「美羽かっ⁈」



『…は?何言ってるんスか、翔さん』



…ん?

この声どっかで…



「……あっ、お前…リョーマか⁈」



『…そうっスよ。お久しぶりデス』


「あ、あぁ…」



電話の相手は美羽の従兄弟である越前リョーマだった。
俺らの2つ年下のくせに生意気だし目つきは悪いしで最初の印象は最悪だったな。


「で、なんでリョーマが水野と知り合いなんだ?」



「それは秘密よ」



ウィンクを飛ばしながら言う水野。

ある意味怖え。



「細谷は越前君家には引っ越し先を伝えていたようでね。ま、口止めはされてたみたいだけど。」



腕を組みながらコーヒーを啜る高梨。

高梨は元から大人っぽい顔立ちだったが、それが更に大人っぽくなったから男の俺から見てもかなりかっこいいと思う。



「口止め…」


『美羽からの伝言、言ってもいいっスか?』



「…伝言なんかあるのか」



電話の向こうでほあら〜と声がした。
ああ、カルピンか懐かしいな。
不細工って言ったらカルピンよりもリョーマからの殺気がすごかったっけか。



『テニス部以外の人からの催促なら俺の判断で信用しでいい人間だけに美羽の居場所を伝えて、と言ってたっス。』


「テニス部…」


丸井達か。

そりゃそうだよな。



『ここまでは水野さん達にも言ったっスけど、ここからは翔さんにだけ。』


「えっ」



『"心配しないで、信用して。いつか絶対に帰ってくるから隣は空けておいてね"だと。ほんと勝手っスね。』



「〜〜〜〜っ」



ほんと、勝手すぎだろ

こんなお願い許せんのなんか世界中探しても俺だけだろ。


『翔さん?』


「…悪りぃ。ありがとな」



『あ、このことは幸村さん達に』


「わかってる。言わねぇよ」


美羽は俺のこと信用してないわけじゃない。


信頼、してるんだ。



『ちなみにそれ言われた日以来から連絡はないっス。』



「美羽らしいな。」



『ちなみにー』



「ん?」



『今年のテニスの全国大会は来た方がいいっスよ。』



「は、なんで」



『それだけ言っときます。じゃ、俺テニスしてくるんで』


一方的に切られた。


全国大会に行けば、美羽に会えるのか?
大阪のテニスの強豪校に美羽がいるってことか?


「水野」



携帯を渡した。


「はい?」



「今日、柳に会えるか?」











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