時雨

□18.
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ちゃんと失敗することなく料理を作ることが出来て、


お風呂にも入って、



寝るだけだった。




確かにベッドには入った。




でも眠ることができなかった。




…また、か。




「っ」





足音…?




「…誰?」




廊下特有のペタペタと音がする。




…何?




「…奈央、入っていい?」




「どうぞ。」




あぁ、



勇太か。





「どうしたの?」




「眠れないんだ。」




「私も。」




「…なぁ、奈央はどうして立海に入ったんだ?」




「え?」




「だって立海って受験するとこだろ?わざわざこんなとこ入らなくても…」




「ここの桜が気に入ったってことが理由かな。それだけだよ。」




「桜ー…?そんな桜好きだったっけ?」



「わかんない。でも最初に見えた桜が、私を呼んでたような気がしたの。」




「…それはあながち間違いじゃないかもしれない。確かに呼んでいた。………幸村さんが。」





シンッ




…多分、今ここに音が存在したのなら、こんな音だったと思う。




勇太はタブーを口にした。





「…それ、どういう…意味?」




「奈央は幸村さんのことどう思ってる?」




「ちょっと、私が聞いてる…」




ゾクッ




それは、



幸村の目に似ていた。




やめて、




その目で見ないで。





やだ…






「…冗談。おやすみ。」










…ねぇ、










あたし達はやっぱり姉弟にはなれないのかな。















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