キセキ

□14.
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ピーッ



『只今より1年4組がプレゼンするのは演劇部長谷川が自作したオリジナルストーリーで、Fall in love~運命の双子~です。あと10分程お待ちください。』





体育館でやるけれどカーテンは全てきっちり閉まっててかなり本格的だ、と今更ながら感じてしまう。



あたし達は小声だけれど気合を入れまくっていた。




「皆、私の自作なのについてきてくれて本当にありがとうっ!私、この劇は本当に楽しみなの。主役の4人ももちろん他の皆もありがとねっ」





長谷川さんは本当にすごいと思う。


脚本、監督など難しいことは全て長谷川さんが行ってた。


でもそれを楽しそうにする長谷川さんを見ていたらあたしも自然とやる気がでてきたっけ。




「正直、この役は私にぴったりだと思う。人間の汚さが滲みでてるからね。」




「…加奈?」





「演技中はたくさん酷いこと言うけど本気じゃないからねっ!」



「分かってるよ、加奈。ありがと、大好きっ」




「私も!蓮ちゃんと同じくらい大好きーっ」






「あたしも好きな人できたらそんな台詞言ってみたいなっ」





「細谷、それ相手は俺でもいいわけ?」




「た、高梨君…」




肩を組まれて逃げられない。


そして近い。




あたしは身長158cmあって中1女子としてはけっこう大きい方だ。


けど高梨君も長細くて165くらいは悠々にありそうだ。




「あんたは草食系でしょっ!なーに肉食ぶってんのよっ」





加奈…!





「今回の肉食はま・る・い!」



「ちょ、何言ってんだよぃ水野!」




何かブン太と加奈、仲良くなったな。



よかったよかった。




「細谷」



「え、何です…」




「俺、本気でお前のこと好きになったかも」




耳元で話されたから息がかかった。


それにピクッと反応したら可愛い、と言われて目を細めてた。





「じゃ、開演まで10秒前ーっ」




翔に言われたことなんて気にしないっ!



中学ではちゃんとやる!

失敗しない!





「3、2、1!さ、ジュリア、マリア行ってらっしゃいっ」

























『あたし達…不幸の子供なんだってね…マリア』



『世界が滅するって…滅亡するってことだよね…』




この国の人々は次々と死んでいった。



これは偶然じゃなかったのかは分からないけれど。





『ジュリア、逃げよう。この国から。』



『それって…』



『大丈夫。いつかまた帰ってくるから。』




『追い出されるってこと…だよね』




『…そうだね。私達姫なのにね』




そう言ってこの国を去った姫達。




そして森で双子の王子に会う。



2人は引き取られて王子の国に行った。





『な、シエルはどっちがいい?』




『何がだよ』



『またまた〜!姫達のこと!俺はやっぱ妹のジュリアの方かなっ』



『…俺もだ。』



『俺等、双子で同じ子選ぶってどんだけ!』



『そうだな』




この会話を聞いてる者がいるとも知らずに。







こ、ここからあたしが2人の王子と絡む場面だ…


やっぱ緊張する…




「美羽、ファイトっ」




「加奈…」



「あ、丸井も頑張んのよ!色んな意味で!」



「ブッ!おまっゲホッ…ゲッ…」




「丸井クン、大丈夫〜?」




「高梨に心配されたくないわっ」





「じゃあまずは高梨君と細谷さんの絡みね!」






『ジュリア』



『…シエル様』



『様はよせ。元気がないがどうした』



『…なぜか、昨日の夜から姉の機嫌が悪いのです。』



『そうか。慣れない環境だからな。精神的にも不安定になるのだろう』



『そう…ですよね』



『あぁ、そうだ。』



『ありがとうございます。では…』




これで立ち去って次のシーンに




『…待て』



グイッ



「っ…」




何故か抱きしめられてる。




『…離したくない』






「「「「「キャアアアッ‼」」」」」



頭が真っ白になって客席からたくさんの声が聞こえる。



『あ…の…』




どんどん高梨君の顔が近づいてきて…






「「「「「きゃあああっ‼」」」」」







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