キセキ
□14.
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「美羽ーっ!翔君連れてきたよー」
「あ、加奈!翔!」
「…お前、そっちに目覚め「てないけどっ!」」
翔はジャッカル君と同じクラスでなぜか女装カフェをすることになったらしい。
ジャッカル君によると翔は一番似合ってて看板娘的存在らしい。
もちろんジャッカル君も女装はしてるらしいけれど笑
そして隣の加奈は柳君を探して周りをキョロキョロ見渡してる。
「ねー、私の蓮ちゃんどこぉ?」
「いつから俺はお前のモノになった」
背後からぬっとでてきた柳君。
正直声にならないくらい驚いた。
「きゃああっ!蓮ちゃん似合いすぎ!やばいやばいやばいっもう結婚してっ‼」
「断る」
は、早い!
昨日加奈に言われた。
やっぱり柳君が好きなんだって。
ブン太は一瞬の恋だったって言ってたっけ。
相手が誰だろうとあたしは加奈の恋は必ず応援するつもりだから今を全力で応援したい。
幼馴染の恋っていいと思うけどな。
あたしはないけど。
だって野球しか愛せないようなやつだからね。
あたしはボール以下って言われそうだわ。
「で、劇大丈夫なんだろうな?お前は確か保育園の時はお姫様役で失敗ばかりしてたし小学校の時のお姫様役でも失敗してたからなっ」
…アレ?
そうだっけ…?
「もう!そんなプレッシャーかけないでよ馬鹿翔っ!ほんと緊張してんだから!」
「はは。ごめんごめん」
そう言って頭を撫でてくれる。
それは懐かしい感じがして安心できる気がした。
「へー。美羽って保育園も小学校も姫役してんだなー」
何か超棒読みの声が聞こえた…
あたしの隣で怒ってるのか笑ってるのかよく分からない表情とオーラをだしたブン太がいた。
「ま、中学では必ず成功させるんだろぃ?」
"では"がかなり強調された気がしたけどスルーしておこう。
「絶対成功させようねっ‼」
「っ…お、おう」
歯切れが悪くなったけどどうしたんだろ。
加奈がかなりにまにましてるし。
柳君もふ、と笑ってる。
目の前の翔もなんだかよく分からない表情をしてた。
「あ、もう俺戻んないと」
「翔は忙しいよねー看板娘だもんねー」
「う、うるせぇよ!」
あ、否定はしないんだ。
「…あ。」
「どしたの加奈」
「ふふ、なんでもなーいっ」
どうしたんだろ。
「気にするな。また何時ものくだらないことを考えているだけだ」
さすが幼馴染!
分かってるなぁ!
「こいつの頭が単純なだけだ」
きっと今、あたしも単純って思われてるって分かった。
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