兄さんは死んだのか―――――?
俺を迎えに来たという、まだ幼さを少し残した顔をした男は、俺の問いかけに頷いた。
そうか…兄さんもとうとう……。
覚悟…というか、割り切っていたことだから、兄さんが死んだと聞かされても悲しいとは思わなかった。
お互い命を賭けたことをしていたんだ。だから死ぬことだって…。
それに遅かれ早かれ、人には必ず死が訪れる。
兄さんが何をやっているのかまでは知らなかったが、俺の前に現れた男から訊かされたときは、さすがに驚いたぜ。
……まさか、4年前に世界を散々騒がせた、ソレスタル・ビーイングのガンダムマイスターだったとはな。
兄さんは兄さんのやり方で、テロと戦っていたんだな。
そして、世界から戦争をなくそうとして…………死んだ。
これで、俺一人か。
結局俺は、家族の誰の死に目にも会えなかったんだな。
両親と妹がテロの被害にあって命を落としたときは、俺も巻き込まれていたから。
奇跡的に助かって運ばれた病院で目を覚ましたときは、もうとっくに家族の葬式は済まされていて、兄さんがたった一人で、俺の回復を願って見守ってくれていたんだっけ。
俺が目を覚ましたときの兄さんの泣き顔は、今でも昨日のことのようにはっきりと覚えているよ。
なあ、ニール。
アンタは、どんな最後を遂げたんだ?
いつか、誰か教えてくれるかな……。
けど今は兄さんの死には浸らないぜ。
兄さんには悪いが、悲しさなんて引き摺っていたら、いつまでたっても前へは進めない。
今は俺に出来ることをするために、歩き続けるだけだ。
そしてアンタが出来なかったことを、俺が成し遂げる。
なんて……俺に出来るかどうかなんてわかんねーけどな。
だから悲しみは、すべてが終わるまで隠しておくよ。
すべてが終わるその時まで…
そしてすべてが終わったら、家族のことを想って泣くよ。
兄さんのことを、想ってな。
だから悪いけど、それまで待っててくれよ。
頼んだぜ、兄さん――――――。
end.
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あまりにもニールに似すぎたためにファンからは受け入れられてないのがちょっと可哀想だと思った。
でもしょうがないよ。
ニールがいい男過ぎたからね。(^^;)
ライルも悪ふざけしてないで、いつかは兄貴を想って悲しんでる姿を見せておくれ。