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□俺がお兄ちゃんになった日2。
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ヤマトが産まれた時、俺はまだ8歳で、でも8歳ながらに『兄貴』としてのプライドみたいなものを持っていた。


今までずっと俺だけを見て、俺だけの為に動いてくれていた母さんや父さんがヤマトに付きっきりになった時。心の中では嫉妬が渦巻いていたけど表面上では平気なフリをした。

俺のお気に入りだったオモチャをヤマトが壊したから怒っただけなのに、ヤマトが泣いたから俺が母さんに怒られた時。悔しい気持ちでいっぱいになりながもヤマトに謝った。

寂しかったけど、
悔しかったけど、
俺は『兄貴』だから。
だから、




「ヤマト、こっち来いよ。兄ちゃんが本読んでやる」

「…………うん!」




新しく産まれた弟・ソラに両親を取られてぐずる、まだ3歳のヤマトには俺がついててやらなくちゃ。

少しは寂しくて悔しい気持ちになるかもしれないけど、お前には兄ちゃんがついてるんだからな!!





 
***






「に、いちゃ!」

「うおおおお!!ヤマト、聞いたか!?今!今ソラが『に、いちゃ』って!俺を『兄ちゃん』って呼んだぞおおお」

「……やまとも!やまとも呼べるよ!?そんくらい言えるよ!?お兄ちゃん!」

「あー……うん、そうだな!
 ありがとうヤマト!」




ソラが少しずつ言葉を発するようになった頃には、ヤマトは物凄く俺に懐いてくれた。『兄貴』としては嬉しい限りだ。
でも俺は、ヤマトの兄ちゃんだけどソラの兄ちゃんでもある訳で。ヤマトもかなり可愛いけどソラもめちゃくちゃ可愛い訳で。だからヤマトがソラの事をあまりよく思っていないのは悲しい訳で!




「ほら、ヤマト。ソラのほっぺ、ぷにぷにしてるだろ?」

「…………うん。ぷにぷに」

「やあ、と、にい、ちゃ」

「!!」

「おおお!ソラが!ヤマトの事!!ちょ、ねぇ!母さああああん!!!」




ヤマトの延ばした指を、ソラが小さな手でキュッと握った。
あの時俺の指を握った、ヤマトみたいに。

母さんを呼びつつデジカメを探す。
カメラのレンズに写すのは、ヤマトの指を握って嬉しそうに笑うソラと、はにかんだ笑顔を浮かべたヤマトの、俺の、自慢の弟達の姿だ!




俺がお兄ちゃんになった日2!
(そんな事もあったのに、今じゃ『兄貴ウザい』の1言で一蹴だ……。はああああ……。何故こうも上手くいかぬのか……俺には全く理解出来ない。)
( 隊長、うっさいっスわ。)
( ……部下すらも冷たい。)
( 昔話はまた今度聞きますんで。早く酒覚ましてきて下さい)
( ……ああ。そうしてくる。)

▼友人出演*ハルト




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