オリジナル
□向日葵と
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「ひまわりの種を貰ったから、一緒に蒔こう!」
理瀬椰がそう言ったのは数ヶ月前で、みんなで種を蒔いた寮の花壇には、見事な向日葵が咲き始めていた。
本当に大きくなるんだなと、史津は向日葵を見ながら思う。
暫く眺めていると、瑛が水の入ったジョーロを持って現れた。
「史津も向日葵に水あげる?」
「俺はいい。てか、こいつの世話役はどこに行ったんだよ。」
世話役とは、種まきを提案した張本人、理瀬椰の事。
植物や理科系の事に関しては、人一倍詳しい奴なのだ。
そいつが水まきをしないとはどういうことだ。
姿を見せたら、取り敢えず水を掛けよう、絶対に。
史津が物騒な事を考えてる頃、瑛は向日葵に水をまく。
乾いていた土が水分を吸い、水の掛かった葉には瑞々しさが戻っていった。
「あれ?二人とも、こんな所で何してるんだい?」
向日葵を眺めていた時、怜珠の声が響く。
声の方を見ると、怜珠がアイスをもさもさと食べながら近付いて来る。
史津は苦虫を噛み潰したような顔をし、瑛はぱぁっと笑みを浮かべた。
「怜珠ー!あのね、今向日葵に水をあげてた所なんだ!」
「へーそうなの。じゃあ、ご褒美にこのバニラバーをあげよう。」
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