オリジナル

□退治
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ある日の休日。

史津は、パチッと目を覚ます。
時計を見ると、起きるにはまだ早い時間だった。

もう一眠りしようかな。
そう思いつつ、史津は部屋の天井を見る。

黒い物が、動いていた。

「……何だ?あれ。」

ゴシゴシと目をこすり、再度黒い物を見る。

あの黒くて独特の姿をした物。

自分が寝ぼけてなければ間違いない、あれはー…。

蜘蛛だ。

さーて、どうやって殺そうかな。

史津は、蜘蛛を退治する道を選ぶ。
生かすという選択肢は彼にない。

逝かすという選択肢はあるが……。

「蠅叩き……あるかな……?」

自分の部屋に、蠅叩きはない。
寮の談話室に行って、借りてこようか。
でも、面倒だなー。

蜘蛛一匹に。

ベッドに横になりながら、史津は蜘蛛を睨む。
天井を見る度に視界に入って、凄くイライラする。

やっぱ、殺そう。

ベッドから降り、史津は談話室に向かった。

まだ早い時間なので、談話室には誰もいない。

蠅叩きを持ち、史津は部屋に戻った。

床からだと天井に届かないので、ベッドの上に立つ。

蜘蛛がベッドに落ちないように、史津は蠅叩きで蜘蛛を叩いた。

勢い良くやりすぎて、蜘蛛の染みが天井につき、蜘蛛は床に落ちる。

一発で仕留めたが、何だこの気持ちは。

「天井に染みが付いちゃったなー。」

どうしてくれるんだ、このヤロー。

ティッシュで死骸を包み、ゴミ箱に捨てながら、史津は悪態をついた。




おわり
 

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