オリジナル
□自習時間
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自習時間。
「ああ〜っ!面倒だーっ!!」
うがーっと、史津は数学のワークを投げ出す。
数学の順列が、思いの外面倒で嫌になったのだ。
投げたワークは、偶々前にいた理瀬椰にぶつかった。
「おい、史津。いくら面倒だからってワークを人に投げるな。」
理瀬椰は引きつり笑いをしながら、ワークを史津に返す。
ワークがぶつかった後頭部が微妙に腫れてるのは、きっと気のせいだ。
「だって、面倒なんだもん。計算より、歴史を勉強する方が楽しい。」
「俺は実験の方が楽しい。」
「理瀬椰は実験バカだもんね。」
ワークを再度開きながら、史津は言う。
その声音が、理瀬椰には冷たく聞こえた。
ああ、友よ。
いつからそんなに冷たくなった。
理瀬椰は涙を拭う振りをした。
「何、芝居してんだよ。」
バシッと、偶々通りかかった朱騎が理科のワークで殴る。
理瀬椰は「痛い。」と呟き、叩かれたところを両手で押さえた。
史津は内心「今日の理瀬椰は運がないな。」と思った。
「それより理瀬椰、理科教えくれないか?ここの実験よくわからなくて。」
「どれどれ。」
理瀬椰は朱騎のワークを受け取り、問題を見る。実験は理瀬椰の得意分野だ。
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