お題2
□恋愛依存症
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「別れるって……どうして急に?」
これでもかと目を丸くして、目の前の彼が問う。
閑静な住宅街にある公園。
子供たちの遊ぶ声も余所に、一組の恋人たちが終わりを迎えようとしていた。
「まだ付き合って二週間も経ってないじゃないか」
学校で君から告白してきたのに。
少々、勝手ではないだろうか。
「ごめんなさい……」
人生最大の舞台だと思いながら、美咲は暗い雰囲気を限界まで出して謝る。
心の中では、話すのも面倒なので早くこの場から去りたかった。
別れの展開は慣れている。
今年に入って半年。もう6回目。
全て、自分から別れを告げた。
◆ ◆ ◆
お風呂から上がって、真っ直ぐ自分の部屋に戻り、ベッドに腰を落とす。
軽く息を吐き顔を上げると、視線の先には鏡があった。
髪が濡れてる自分が映っている。
自分で思うのもあれだが、結構整った顔をしている。
身長もある程度あるし、手足もバランスよく伸びている。
言い寄られた男の数は数えきれず。
だからといって、全部の男と付き合ったわけではない。
付き合ってみたいと思った男のみ。もっと具体的に絞るなら、靴箱に手紙を入れた男だ。
匿名でも名前有りでも、直接告白して来た男より、手紙をくれた男の方に興味を持った。
手紙を書いた男はどんな人なんだろう。
好きな食べ物は、逆に嫌いな物は。
休日は何をしている。
女の子には何を着てほしい。
どうして、私を好きになった。
貰った手紙を読み返しながら、想像する。
そして実際に会って、付き合ってみて、興味が無くなる。
ずっとその繰り返し。
これが、恋に恋してる状態なのだろうか。
恋をしているつもりで、本当はただ疑問に思った事を知りたかっただけではないだろうか。
この先もこんな調子なのだろうか。
「参っちゃうよなあ」
その言葉を声を大にして言いたいのは、付き合って来た男たちだろう。
end