Short novel

□大空を覆い隠す霧
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ある日、突然やって来た転校生(名前?そんなもの覚えていませんよ)に綱吉君は陥れられた。

最初は綱吉君を信じていたはずの獄寺隼人や山本武,笹川了平…
そして彼の家庭教師であるあの晴のアルコバレーノでさえも、
時が経つにつれ段々と嘘の証拠や証言に騙され綱吉君と距離をおくようになり、
今では他の愚者達と共に偽りの大空を盲信し、
真の大空である彼に率先して制裁という名の暴力を奮うような愚か者になり下がってしまいました。

なぜ隣町に住んでいる僕が、
綱吉君のおかれている状況に対してここまで詳しく知ることが出来たかというと、
あらぬ虚言を吐き彼を陥れた全ての元凶であるその女がボンゴレの血縁者だと偽り、
その偽りを信じた愚かな三流家庭教師様が次期ボンゴレ10代目としてその雌豚を紹介するために僕とクロームを並盛に呼び出したからです。

今まで綱吉君の右腕だ親友だ何だと騒いでいた忠犬共…いえ、飼い主の手を噛んだのですからもう駄犬ですね。これならまだウチの犬の方が何万倍もマシですね…兎に角、駄犬共があの雌豚に媚びを売る姿は実に滑稽でしたよ!


獄寺隼人…君は彼の右腕になると豪語していたのではないのですか?
まぁ、彼の言葉に一切耳を傾けず簡単に裏切ったところを見ると、君が慕い敬愛していたのは“彼”ではなく“ボンゴレ10代目”だったのですね。

山本武…君は彼の親友だったのではないのですか?
普通は付き合いの短い彼女ではなく、親友である彼を無条件に信じてあげるべきだと言うのに…
最後まで彼を信じられなかったということは、君にとって彼は所詮その程度の存在だったという訳ですね。

笹川了平…君は彼を認めていたのではなかったのですか?
それなのに自分の妹である笹川京子の言葉を鵜呑みにし、自分で真実を確かめようともせず彼を悪と決めつけるとは愚直ですね。

晴のアルコバレーノ…君は彼の家庭教師だったはずですよね?
それなのに彼の必死の訴えにも耳を貸さず、躾と評して彼に実弾を放つとは…最強のヒットマンが聞いて呆れますよ。


最後の確認にと彼のことを尋ねた僕に、我先にと綱吉君を罵り始めた“元”彼の仲間達に気分が悪くなり、適当な理由をつけてクロームと共にその場を離れました。

それからすぐに綱吉君を探し出し、彼を見つけた時には辺りは既に暗くなっていました。
 

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