Short novel

□人柱アリス
1ページ/2ページ


『あるところに、小さな夢がありました。だれが見たのかわからない、それは本当に小さな夢でした。小さな夢は思いました。このまま消えていくのはいやだ。どうすれば、人に僕を見てもらえるだろう。小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。人間を自分の中に迷い込ませて、世界を作らせればいいと。』





絵本『人柱アリス』





一番目アリスは勇ましく
トンファー片手に、
不思議の国。
いろんな人を咬み殺して、
真っ赤な道を敷いていった。
そんなアリスは、
森の奥。
罪人のように閉じ込められて。
森に出来た道以外に、
彼の生を知る術はなし。



二番目アリスは祈るように
拳奮って、
不思議の国。
様々な困難乗り越えて、
仲間との絆築き上げた。
そんなアリスは、
マフィアの王。
いかれた男に撃ち殺されて。
真っ赤な花を一輪咲かせ
皆に愛でられ枯れていく。



三番目アリスは幼い娘。
可愛い笑顔で、
不思議の国。
いろんな人を惹かれさせて、
穏やかな日々を造りあげた。
そんなアリスは、
虹の大空。
歪な夢にとり憑かれて。
朽ちゆく体に怯えながら、
ファミリーの頂点に君臨する。


森の小道を辿ったり
 薔薇の木の下でお茶会
お城からの招待状は
 スペードのトランプ



四番目アリスは霧の守護者。
輪廻巡って、不思議の国。
いろんな扉を潜り抜けて、
ついさっきやって来たばかり。
天の邪鬼な骸と、
健気なクローム。
一番アリスに近かったけど、
二人の夢は、覚めないまま。
不思議の国を彷徨った。
                                          →アトガキ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ