Present
□雲の恋心
1ページ/1ページ
最近、僕はおかしい。
最初は、他の草食動物達と同じだと思ってた。
いつ見ても群れてるし、僕を見ては怯える。
次は、不思議な子だと思った。
弱いと思ったら強くなったり、やっぱり弱かったり。
あの子曰く、それは「友達の為・仲間の為」らしいが、僕には理解出来ない。
あの子の戦っている姿を見ていると、弱いのに強がって自分を大きく見せ、相手を威嚇している小動物のように思えた。
今では、愛しいと思うようになった。
あの子を見るとイライラするのは、あの子がいつも周りの奴らと群れてるから。
その笑顔を僕にだけ見せて欲しい、僕の事だけを考えて僕の事だけを見て欲しい。
こんな感情が、僕の心の中に渦巻く。
だけど僕は、この気持ちの名を知らない。
そんなモヤモヤした気持ちを抱えてイライラしてる時に、奴に会った。
六道骸だ。
いつものように戦っていたら、あの子が慌ててやって来た。
「何やってるんですか2人とも!?雲雀さん!落ち着いて下さい!!骸は黒曜に帰れ」
前の僕ならそれでも気にせず戦っていただろうが、今の僕はそれだけで“僕の心配をしてくれた!”と、思うようになっていた。
我ながら馬鹿馬鹿しい。
そんな僕を見て、六道が「随分と気に入っているのですね。クフフ…」と笑ったので、睨んでやると「認めなさい。自分の気持ちを」と僕に耳打ちをして去って行った。
認める?何を認めるって言うのさ?と考えていたら、あの子が心配そうに僕の顔を覗きこみながら「大丈夫ですか?」と言ってきた。
その行動が妙に可愛くて、思わず ドキッ! っとした。
僕は赤くなってしまっただろう顔を見られまいと思い、あの子に振り向きもせず「大丈夫だよ」と一言言うと、逃げるようにその場から離れた。
だから知らなかったんだ。
君が僕の背中を見ながら、悲しそうな顔をしていたなんて…