最強夫婦の物語

□第5話:波瀾万丈な学園生活
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(………くっ、思うたように身体が動かぬ)




彼女は息も絶え絶えに、必死に茂みをかき分け進んでいた。


傾国の美女と例えもいい美貌の持ち主だが、その表情には焦りと疲労が見て取れる。


豪奢なその着物はところどころが破れ、さらに血と思わしき赤い染みが飛んでいた。




(妾ともあろう者が、ぬかったか)




あと一歩。そう、あと一歩だった。


上皇を呪い殺し、全てを手に入れる。


あそこで陰陽師共が出てこなければ………彼女の企みは成立していただろう。




「………ここまで、かの」




思わず、その場に膝を突く。


ずっと走り続けてきたために、体力は限界に近い。術を行使するだけの力も残っていない。


ここで息絶えるのも………きっと運命なのだろう。


そう思い、ゆっくりと重い瞼を下ろしていく。




「誰?」




幼い声が聞こえた。


最後に見たのは、空のように澄んだ髪のあどけない少年だった。
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