最強夫婦の物語
□第3話:ネギ・スプリングフィールド
1ページ/6ページ
6年前のあの雪の夜、僕は全てを失った。
世界は僕が思っていたほどキレイじゃなくて、僕が知っていたほど優しくなくて、どこまでも残酷だった。
「ネギ? ぼーっとしてるけど、どうかしたの?」
「………ううん、何でも無い」
幼なじみのアーニャが、心配そうに僕の顔を覗き込んでくる。
アーニャは僕より1歳年上で、あの時は学校にいたから巻き込まれずに済んだ。
「それより修業先どこになった? 私はロンドンで占い師だけど」
「ちょっと待って。今開くから………」
さっきの式でもらった卒業証書を開く。
魔法学校を卒業したのが、修行の始まり。証書に精霊が修業先を書く事になってるんだけど………えっと「Teacher in japan」。
「日本で、先生をする事………?」
「………え?」
なお、お姉ちゃんとアーニャが絶叫したのは言うまでもない。
日本で先生か。僕、まだ10歳なんだけど大丈夫かな?
当たり前かもしれないけど、教員免許なんて持ってないし、相手も年上になりそうだし………。