最強夫婦の物語
□第2話:変な奴がやってくる
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「高天原鏡士郎? 誰じゃ、それ」
「ほら、20年前のアレでつっかかってきた奴だよ」
布団の中で一戦構えた後、玖楼が思い出したかのように語った名前。
あ〜、そう言えばおった気がするのう………あのバカ共と一緒にいた、変な奴じゃな。
確か力ばかり無駄にでかくて、妾の事を見て「俺の物になれ」とか戯けた事を言っておったのう。当然、返答の代わりに蹴り飛ばしたのは言うまでもないが。
「そやつがどうかしたのか?」
「麻帆良に来るみたい。例の問題児クラスの副担任として」
………大丈夫かのう? 妾たち、面識あるぞ?
妾はともかく、そなたは学校で顔を合わせるじゃろうし、大丈夫か?
「大丈夫。20年前に記憶処理しといたから、何も覚えてないでしょ」
「それはそうじゃが………」
「それでも突っかかってくるんなら、適当にあしらうだけだし」
表向き、妾たちは一般人じゃ。下手に力を使うわけにはいかん。
ま、玖楼なら力を使うまでもなく、無力化する事くらい容易いじゃろうがの。
「そんな事より、もう一戦どうじゃ?」
玖楼の下半身へと手を這わせる。………おお、もう4回目じゃと言うのに元気じゃのう。
可愛らしい外見に反して、ここだけは猛々しい。
「んっ………」
まるでおなごのように頬を赤く染める玖楼。
思い出すのう。初めて喰ろうた時も、このように初々しかった。
あの頃から全く変わらぬ、愛しい愛しい玖楼。獣の妾にも優しく触れてくれた。
(愛しいのう………)
それに舌を這わせ、また妾たちは享楽の宴へと突入した。