□愛を込めて花束を
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翌日。

「…で、今日は何しに来たんですか?」不機嫌度MAXな表情で鬼灯が尋ねると、白澤はにこにことしながら言った。
「いや、お前に愛されてるんだなって思ったら嬉しくてさ。つい、プレゼント持って来ちゃった」そう言うなり白澤が後ろ手に持っていたものを取り出す。それは、色鮮やかな花束だった。
「………貴方、そんなものを持ってここまで来たんですか?」
「うん。現世に行って買ってきた」
「…本当に恥ずかしい人ですね」呆れながらそう零す鬼灯に、困ったように笑いかけながら白澤は言った。
「ごめん。でも、何かあげたくて…現世ぶらついてたら、『愛を込めて花束を 大袈裟だけど受けとって』みたいな曲が耳に入ったから、天命かなと思って」受けとってくれる?と首を傾げる白澤を単純な奴だと罵ってから、鬼灯は優しくそれを受けとった。
「花に罪は有りませんからね」
「僕の愛も受けとってくれたってことだよね?」
「クーリング・オフは一週間以内でしたっけ」
「返品!?」憎まれ口を叩きながら、しかし花に触れる手は優しく、その表情は愛おしげで。白澤は心が温かくなるのを感じた。込み上げる愛しさに言葉が口をついて出る。

「好きだよ、鬼灯」

「…えぇ。知ってますよ…私もですから」










Fin.
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