□諺シリーズ〜鬼の撹乱
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鬼の撹乱










現世には鬼の霍乱という諺がある。意味は『普段いつも元気な奴が体調を崩すこと』だ。そして、それは地獄でも当て嵌まる。

「…お前、風邪じゃなかったのか?」閻魔に呼ばれて来て見れば、自室で布団に包まって机に向かう鬼灯の姿。
「いいえ?ただ普段より体温が高くて喉が痛くて身体がだるい上に咳と吐き気が」
「いやそれ風邪だから、完璧に。…天変地異の前触れ?」いつもの様に軽口を叩くが返ってくる反応は鈍い。
「天地がひっくり返ろうとも私は仕事をします」
「いやいや。寝てなくちゃダメじゃない」
「じゃあ貴方が代わりに寝ていれば良い」
「意味なくね!?」机に向かったまま、あーだこーだとぐずる鬼灯を布団ごと持ち上げてベッドに放る。
「…眠くありません」
「でも寝るのが一番だよ。ご飯食べた?」答えの予測はついているものの確認すると、朝から何も食べていないと言う。
「もう夕時じゃん…しょうがないな。お粥作って来るから待っててよ。僕がいないからって、ベッドから動いたらダメだからね」そう釘をさして白澤は部屋を後にした。
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