□怒って、る?
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怒って、る?




















「ふぁ〜あ、おはよう桃タロー君」欠伸をしながら早起きな部下に挨拶すると、どこかの鬼神を思わせる程険悪な目つきとかちあった。
「ん〜…なぁに桃タロー君、お腹でも痛いの」寝起きでぼんやりしたまま尋ねると盛大なため息が返ってきた。
「ため息をつくと幸せが逃げるよ」
「アンタのせいだろ!」僕にしてはかなりまともな事を言ったつもりなのにすごく怒られた。いつもは従順なのに、どうしたって言うんだろう?
「どうしたって言うの、こんな朝っぱらから」
「今は世間一般で言う昼です。それより、どうしたじゃないですよ。白澤様、鬼灯さんと何か約束してませんか?」
「鬼灯とぉ〜?別に何も………………………………………………あ」
「やっぱりしてたんですね?午前中にいらしたから、まだ寝てますよって言ったらかなり恐い顔して『なら構いません』って帰っちゃいましたよ?俺、どうなっても知りませんからね!」ぎゃいぎゃいと桃タロー君が喋る内容を聞きながら、僕は内心かなり焦った。

―鬼灯との約束。それ自体は特別な事ではなく、単に仕事の用件があるだけだ。しかし、久しく会っていなかったあの鬼神に、せっかくの会う機会を逃してしまった事に、僕は憤っていた。会えば必ず喧嘩になるし、口を開けば悪口雑言ばかり。でも本当は、鬼灯が好きだ。鬼灯ほど、僕の中に鮮明に刻まれている者はいない。
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