過去拍手

□近くて遠い存在
1ページ/1ページ



「横山、ここ教えて」


5歳年上の横山裕は幼馴染であり、家が隣なのでよく勝手にあがり込んでいる

今日は学校で週末課題として宿題を出されたが分からず教えにもらいに来た

ベッドで漫画を読んでいる裕の両サイドにはかなりの量の漫画が積み上がっていた
集中しているのか、返事がない


もしかして私が入ってきたことを知っていてシカトしているのか、こいつ


「ねぇ」


そういいながら馬乗りになる


「………」


それでも返事がないため、背中のマッサージをしてみた


「…いっ!あ〜そこそこ〜」


マッサージにはかなり自信がある
裕は気持ちよくなったのか読むのをやめ、うつ伏せのまま目をつぶる

なんとなくムカついたため、肩甲骨あたりの背骨のところで全体重を手のひらにかけ押す


ぼきぼきぼきっ


「…うっ」

「いい音してるね」

「おまっ、息できんやん!」

「それはいいからさ、これ教えて」


裕が顔を上げたため、枕のところに課題を広げる
ついでに筆箱も置く

裕は黙って筆箱からシャーペンを出してすらすらと私にわかるように書いてくれた


「ほい、1000円な」

「だまれ、白豚」

「お前口悪いな〜」

「横山のせいでしょ」


裕の腰辺りに座る位置をずらし、裕の頭の上から解き方を見た



「なるほど!ありがとう、裕」

「…あのさぁ、」

「ん〜?」


どさっ

気づけば、目の前に裕の顔があり、天井が見えた


「無防備すぎる」

「……」

「いくら俺でも勃ってまうから」

「…変態」


ちゅ、とわざと音をたてるようにキスされる

今までこんなことされたことはなかったが、
何故かカップルがするようにキスをすることが普通に思えた

私が抵抗しないことをいいことに何度も何度も角度を変えキスの雨を降らす
裕によって私の左手は指を絡めるようにベッドに縫い付けられもう片方の手で頭を固定された


「…っん」


そろそろ息が限界で唯一自由である右手で裕の肩を押す

それに応じて唇が離れる


「…えっろ」


先程とは体勢が逆で裕が私に馬乗りになっている
裕の左手が私の首筋から鎖骨を撫でる

それに身体が反応してしまい、裕が嬉しそうにする


「自分、ええ顔するなぁ」

「…っ最悪」


恥ずかしくなり、顔を背ける

そもそもこれは犯罪でしょ
成人(横山)が未成年(私)を犯してるよ

離していた顔を近づけてきて耳元で喋る


「…このままスルか?」

「!!」


その言葉に反応し、男の人には敵わないと知りながらも抵抗し始める

裕は抵抗する私を見てふっと笑い


「もうちょっと大人になってからやな」


そういって頭をぐちゃぐちゃに撫でられ、私の上から退いた

子供扱いする横山がとても遠い存在に思えた


「何飲む?」

「…水」


頭を掻きながら部屋を出て行く裕の後ろ姿が大人に見えて少し悲しくなるのは、
少なからず恋心を抱いているからかもしてない

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ