マイルドヤンキーの愛し方

□人間観察
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休み時間、
にぎやかな教室の一番後ろの席でいろいろな過ごし方をしている皆を観察する


千秋と幸喜は一緒に雑誌を覗き込んでいた
尚弥くんは寝顔をさらけ出して寝ている

3馬鹿はいつものようになんとも言えないバカなことをしている
それをゲームしながら見守る龍二くん


龍二くんを見ていたら不意に目が合った

すぐに目を逸らし、何事もなかったかのようにチャイムを待つ
意外と早くチャイムが鳴り授業が始まる

先生のお喋りは子守唄のように心地よくいつの間には眠ってしまっていた



「あれ、なつみ寝ちゃってんじゃん」

「大好きなご飯の時間のくせに起きねぇし (笑)」

「なつみの寝顔ー 保存保存」


(上から順に朋生、慎介、公平)


3馬鹿は私を起こさずに食料確保に売店へと向かっていった
そんなことがあったなんて私は知らない


誰かに肩を軽くトントンと叩かれ起きる


「んん、ん〜?」

「飯の時間だけど」

「えっ?!ほんとだ…」


私を起こしてくれたのはあまり関わったことのない龍二くんだった


「あ、ありがとう…」

「ん、」


それだけ言うと自分の席に行きゲームしながら焼きそばパンを頬張る

それに倣ってお弁当を出そうとする

あ、れ?嘘!!お弁当がない!!
最悪だ、忘れてきた

ショックのあまり机に突っ伏す
それを見ていたのか龍二くんが私の前の席にパンたちと共に移動してきた


「メロンパン、食べる?」

「…えっ?」

「弁当、ないんだろ?ほら」

「あ、ありがと…」


貰わないのも失礼な気がしてありがたく頂いた


「ん〜!おいひい!」


そんな私にふっと笑う龍二くん

いつも無表情で口数の少ないから勝手に怖い人だと思っていたけど、
どうやら真逆の人らしくそんな龍二くんに惹かれた


それ以来、目で追いかける存在になった



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