欲しいのは君だけ

□くすぐられた心
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「なつみーっ!」

「きゃあああ!!!」


これが毎朝の日課
校門をくぐると後ろから抱きつかれ胸を揉まれる
こんなことをするのはあいつしかいない


「すぐる!!毎朝毎朝セクハラすんのやめてよね!!」


したいことをすれば、ぱっと離れ距離を置く傑はいい加減学習したからだろう
すぐさまふり返り蹴りを食らわすが、空振る
当たらなかった事に舌打ちをする


「いいだろ、減るもンじゃないし」

「よくない!あたしがよくないの!わかる?!」

「にしてもお前、いい乳してるよな」

「ふざけんな変態!!」


大股で昇降口に足を進める
当たり前のように隣についてくる傑
その事にさらに苛つき持っていた鞄で傑を叩く


「いってェ!なんだよ!」

「あたしの隣歩くな!変態が移る!」

「はァ?なら、移してやるよー!」

「は?馬鹿っ近寄るなっ!」


朝からうるさいのはこの学校に入学して3ヶ月して以来ずっとだ

騒ぎながらもやっと教室に辿り着く
行き先は一緒でしかも席は隣
教室の隅で窓側があたし、廊下側が傑
席に着きながらもぼそっと呟く


「…席替えしたい」

「なんか言った?」

「イイエ、ナニモ」

「ソウデスカ」


仲良くなったきっかけは忘れた
それくらい自然と仲良くなったんだと思う
でも、女子に騒がれるくらいかっこいいのは確かでそんな人とつるむなんて思わなかった


何故か席をくっつけてるのなんてあたし達くらいだ

ほとんどの机が等間隔で離れているのになんでこいつはくっつけてくるのか…

離れようにも既に壁にぴったりくっついていてこれ以上離れられない
それからこいつは彼氏でもないのに必要以上にくっついてくる

……意味分からない
いつか本当に変態が移るかもしれない

ちらっと隣を見ると他のクラスの友達に囲まれて楽しそうに笑っている

あたしの気も知らないで何考えてるんだか…


「はぁ…」


外の景色を見ながら小さくため息をつく


チャイムがなり、授業が始まる
傑の友達はチャイムがなり、少ししてから教室を出て行った



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