欲しいのは君だけ

□過去も叶うのなら
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なんとなく気分が乗らなくて授業をサボって屋上へ行った。


不良校だから、屋上の鍵は開いているはず。
思った通り扉は開いていて、とりあえず、足を進めてみた。



正直、高校入って1年と2ヶ月くらいだけど、
授業をサボるのは初めてかもしれない。
あたしはそこまで悪やってないわけで、
ただ馬鹿なだけと、家からここが近かったの理由で
この学校に入ることになった。


フェンスに近より下を見てみる。
校舎が4階あるからここは5階か、なんてあんま高くないだろうと思ったけど、
めちゃくちゃ高くて一瞬焦った。


「おい、誰だ」


誰もいないと思っていた。
びっくりして声のする方を見る。


「…なつみか」


声の持ち主は壁にもたれて煙草を吸いながら
片手をズボンのポケットに入れている健(タケル)だった。
学1だと言われていて、女子からすごく人気のある人。



中学校の時からずっとクラスが一緒で、
よくつるんでいた。


「健…、いたんだ」

「あぁ、」

「…しばらく見なかったけど、元気?」

「まぁな、」


高校に入ってから健は口数が減った。
原因はわからないけど、なんかあったんだと思う。


「…」

「…」


話すこともなく、しばらく無言でいた。



「なぁ、」


沈黙を破ったのは意外にも健だった。


「ん?」

「…」

「…なに?」


何か言いたげ。
途中で止められたら余計気になる。




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