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□この気持ちの正体は
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------池袋 路地裏-----
「はぁっ・・・ひっく、う・・・ごほっ、ごほっ・・・」
息を整えながら、俺は泣いていた。
・・・そうか、俺は
今更ながらに気がついた。
好きなんだ・・・
シズちゃんのことが・・・
多分、きっと、昔からそうなんだ。
高校のときから、ずっと。
自分の中で唯一、
思い通りにならない男「平和島静雄」。
人ラブ!な俺がたった一人シズちゃんだけ嫌いだったのだって、シズちゃんが俺の中で特別な存在だったからで・・・。
「ふっ・・・う、ぐすっ・・・」
なんでもっと早く気づかなかったんだろう。
まぁ、早い段階で気がついても、どうすればいいかなんてわからなかったかもしれないけど・・・。
「臨也っ!!!」
・・・え?
シズ・・・ちゃん・・・?
いや、幻聴だろ、幻聴。
自分の気持ちに気がついた途端これかよ。
結構乙女なのかな、俺・・・
「おい! 臨也っ!」
あれ。
顔をあげた俺の前にいたのは
シズちゃんで。
「え・・・本物?」
「当たり前だろ」
「なんで・・・」
自分の気持ちに気がついたばっかりで、そんな時に本人を目の前にしたら、言葉が出てこなかった。
逃げることもできない。・・・足が動かない。
どうすることもできずにただ立ち尽くしていた俺を、シズちゃんが優しく抱きしめた。
「・・・え、ええ!?」
「お前、なんで泣いてんだ」
「え、いや、それは・・・
目にごみがさ!ちょっと入っちゃったんだよね!!」
我ながらなんて下手なごまかし方だよ!
でも、今はそれどころじゃない。
シズちゃんに抱きしめられて、うまく言葉が出てこない!
「わかりやすい嘘ついてんじゃねぇ。
なんで泣いてんだ」
さっきのシズちゃんとなんか違う。
言い方が乱暴じゃないし、なにより俺を抱きしめるこの腕がとてつもなく優しかった。
「シズちゃんこそ、なんでここに来たのさ」