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□ホントノキモチ
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「…ん」

うっすらと開けた目の前にあったのは…シズちゃんの首元。

(今、何時かな…)

多分夜中だろうけど、なんだか目が冴えてしまった。
隣にいるシズちゃんは、すぅすぅと穏やかな寝息をたてている。
俺の背中には、シズちゃんの腕があり、抱き締められる形になっていた。

――俺、折原臨也と平和島静雄は恋人同士だ。
恋人になったからといって、池袋での戦争が終わったわけじゃないし、まだ俺も、どうしていいかわからなくて戸惑っている部分もある。
男同士だし、体を重ねたことも何度かあるけど、俺はまだ素直になれない。
今まで彼の前では嫌味を言うことくらいしかしてこなかったのに、急に素直になって、嫌われるのは嫌だ。

…だから、こうして寝てる時だけ、いつも少しだけ素直になれる。
シズちゃんは寝てるし、気づかないだろう。
俺は、静かに身を起こして、彼の薄い唇に、そっと触れるだけのキスをした。


ちゅっ



…気づいてないよね?
うん、気づいてない。


俺がもう一度、唇を重ねようとした、その時。

「っ!?」


急に腕を引っ張られ、俺の視界が反転した。
目の前には、シズちゃんの顔。

「う、ぇ…?」
「いぃ〜ざぁ〜やぁ〜?」
「え…、なん、で…?」

シズちゃん、寝てたよね!?

「毎度毎度、俺が気付いてないとでも思ってたのか?」

思ってたよ!!

「え、ま…さか、いつも気付いて…?」
「あぁ、寝たフリしてた」
「…っ!」

俺の顔は今真っ赤だろう。
自分でもわかるくらい熱く火照っている。
今まで自分がしてきたことに恥ずかしくなって、目の前の顔から目を逸らした。
今すぐにでも逃げ出したい。
でも、押さえつけられてる彼から逃げられるはずもない。
あぁ、もうやだ泣きそう!

「お前…」
「………」
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