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□この気持ちの正体は
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俺、最近どうしたのかなぁ。

いつものように池袋に向かいながら
俺は考える。考える。


「どうして嫌いな相手がいる
あの町に、いつも行くのよ?」


数週間前、波江にそう言われてずっと考えてる。言われて初めて、なんでなのか自分でも疑問に思った。

別に池袋に仕事があるわけでもないけど、自然とあの町に向かってしまうわけで。

「・・・わかんない。」

あぁ、嫌だなぁ。
こうやってモヤモヤするのは嫌いなんだよ。
波江の奴、余計なこと言ってくれちゃってさ!

考えながらイラつき始めたとき、目当ての人物が目に止まった。

「・・・あ」

俺が気がついたのと少しあとに、向こうも気がついたようだった。

「やぁ、シズちゃん!」

「! ・・・いぃ〜ざぁあ〜やぁ〜!!!性懲りもなくまた来やがって!!
俺に殺されたいんだろ?そうだよな?
お望みどおり殺してやるよ、今すぐに!」

「相変わらず短気だねぇ・・・
そんなんじゃ早死にするよ?シズちゃん」

言いながら、俺はサッとナイフを構える。

「うるせぇぇ!そもそも俺を苛立たせる原因はお前だろうが!!!」

ズキッ

ん?ズキッ?

「俺はなぁ・・・
お前みたいな人間が大っっっ嫌いなんだよ!!」

ズキッ

シズちゃんの一つ一つの言葉に、胸が痛む。なんだこれ?

不思議に思ってぼーっとしてたら、シズちゃんの投げてきた自販機がもろに俺に当たってしまい、豪快に吹っ飛んだ。

「・・・あ?」

そんな俺を怪訝に思ったのか、シズちゃんが倒れた俺に歩み寄る。

「おい、何簡単に吹っ飛ばされてんだ?
なんか気持ち悪ぃぞ、手前」

自分で自販機投げといてよく言うよ・・・

「ははっ。・・・なんか今日は調子出ないや。俺、帰るよ」

立ち上がり、足早にシズちゃんの前を通り過ぎる。

「・・・おい、待てコラァ!!」

シズちゃんの声を背中で聞きながら、俺は走った。
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