貴方への想いを。

□心は今動き出す。
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クルルが引き籠って一週間と二日目、クルルがラボから出てきた。


朝から、いつもより煩いケロロの声がしていると思ったら、一緒にクルルの声が聞こえたものだから、俺は無意識に、テントから飛び出していた。

俺に気付いたケロロは、途端にニヤニヤと笑いだし、クルルも「どうしましたァ?」なんて言いながら笑っていた。


俺は少し戸惑いながらも、クルルに「今回は長かったな」なんて、とっさに思い付いた言葉を投げ掛けた。

クルルは、少しの間きょとんとしていたが、直ぐにいつもの顔で「心配してくれてたんスかァ?」とニヤニヤと笑っていた。


いつものクルルに、ほっとしている自分がいて、俺が今まで、クルルを心配していた事を知った。

知って、認めてしまえば楽なもので、素直に「心配していた。あの時は悪かった」とクルルに伝えた。


俺の目には、その言葉に、何故か嬉しそうな顔をするケロロと、みるみるうちに真っ赤になって、俯いてしまったクルルが映った。


クルルの反応に驚き、焦った俺は、急いでクルルに駆け寄り、クルルの顔を覗き込んだ。

俺が「大丈夫か?」と遠慮がちに問うと、クルルがまだ赤いままの顔を上げ、俺を見ると、今までに無い、嬉しそうな顔で笑いながらこう言った。



「ありがと…ギロロ先輩。」



その言葉と表情に、何故か、俺の心は激しく動いた。


 

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