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□片道15分の距離
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区役所前駅から片道15分、
いつもと同じように時間がながれていく。

相変わらず人は多くて、潰されてしまいそうだ。

そんな電車にのって女子校に通う普通の高校生、
田辺 未彩(たなべ みさ)。

朝は苦手だし、人があふれていて苦しいから、電車はきらい。

そう思っていたんだけど、

あの日から

そう、あの日から私は電車にのるのが好きになった。


あの日も人が多くて、ドアがあいて人が降りたとたんにまた人がのってくる。
そんなスピーディーな動きについていけず、
背の小さい私は人にうもれて動けなくなっていた。

息をするのも苦しくて、
どこか移動しなきゃ死んじゃう!
とおもった時、

「大丈夫?」
そう声をかけてうもれてる私を少し余裕のあるところにひっぱってくれたのは、
いつもみかける他校のイケメンさんだった。
私と違って身長が高かった。

私は正直、男の人が得意じゃない。
高校も男の人が苦手なため、女子校を選んだ。

特に、知らない男の人は苦手。

「あ、すすすいません…」
うもれてるところを見られた恥ずかしさと、
緊張してうまく口がまわらなかった恥ずかしさで
私の顔がみるみるあつくなる。

そんな私を見てイケメンさんはクスッと笑った。

私は、さらに恥ずかしくなった。
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