短編置き場
□君のそばで。【裏】
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『・・・・・もういい。お前、クビだ!』
「え・・・・・・」
電話越しの声は、そう言った。
「本当、ですか・・・・・?」
『本当だ!もうお前会社こなくていいから!!』
「う、そ・・・・・・」
ぶちっと、そこで電話は切れた。
「・・・・・・」
土方は、自分の手にある暗い画面の携帯を呆然と見つめた。
土方はまだ明るい昼間の公園んに一人立っていた。
平日の真昼間の公園には、人気は少なかった。
土方は今日、大事な接客でミスを犯してしまった。
会社にとってとても利益のある件で、その意向は自分にまかされていた。
その件で土方はミスをしてしまい、土方のせいで会社に大きな損害を負わせてしまった。
その責任は重大で、上司からこっぴどく叱られ、挙句の果てにはクビだと宣告された。
「どうすんだ俺・・・・・・」
突然のクビ宣告に、どうしたらいいものかわからない土方に、声がかけられた。
「どうしたの?」
その声のほうをむくと、公園のベンチに一人座っている男がいた。
その男は白髪で、けだるそうにしており、着ているスーツは少し乱れていた。
「困ってるみたいじゃん?手ぇかしてあげようか?」
「なんだお前・・・・・」
「俺?んーとね、俺は坂田銀時っていうんだ」
へらへらと笑っている坂田という男は、いかにも胡散臭そうに見える。
「あのね、俺、こう見えても小さな会社経営してる社長なの」
冗談を言っているようにしか聞こえない。
「どう?うちで働かない?給料ははずむよ」
「・・・・・・・・」
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