君を、愛する

□3.泣き顔さえも、
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卒業式。

ホグワーツ特急に乗り込む卒業生は皆こぞって泣いていた。
僕は、全く涙が出なかった。
周囲で泣いている奴らの誰との別れも寂しくもなんともなかった。
群がって来る女も、鬱陶しくて仕方なかった。
遠目で見た僕の唯一愛した人は、泣いていないようだった。
少し寂しそうにホグワーツ城を見上げたあとはただ親友のバセット嬢を慰めていた。
思えば、彼女は僕の前でも泣いたことがなかった。


もうきっと、一生見ることがないんだろう。


僕は、駅に降り立った後は、すぐに姿を眩ます算段を立てていた。
ボージン・アンド・バークスで働いて、闇の世界で渡り歩いて行くに十分な知識と人脈を手に入れる。

僕なりに卒業式までの短い期間で**への気持ちに区切りをつけた。
あいつは、僕との生活を捨てて死にかけのマグルの母親の雑貨店を継ぐんだ。
元々、僕の崇高な目的に必要のない女なのだ。
何も気にかけることない。
そう、何も。
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