白雪姫の白昼夢

□陸
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彼女が取り戻した声は、今まで聞いたことのある声の中で一番美しかった。
動揺して、透き通った声を震わせている。


「宵ちゃん、素敵な声だね。
 …ずっと、キミの声が聞いてみたかったんだ」


と、いつものように頭を撫でてやるが、ぽかんと口を開けて僕を見ている。
どうしたものかと苦笑を浮かべていたら、宵ちゃんがぎゅっと僕の手を握った。
宵ちゃんはみるみるうちに顔を歪ませ、ぽろぽろと涙を流した。


「ぁ…っ、あ、う、あああ…っ!」


声を震わせ、顔を俯かせ泣き出した。
雪崩れこむように頭を傾けた宵ちゃんの小さな頭を抱きしめる。
小刻みに震えるその身体はやはり病に蝕まれているようで、常人よりずっと細く、ずっと華奢だった。
戸惑いを覚えたが、宵ちゃんの小さな背を撫でながら知らず僕は彼女を強く抱きしめていた。
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