めいん
□飲み込んだ言葉の墓場
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「璃威、帰ろう」
『あ、樹威待って!帰る準備できてないから!!』
「しょうがないなぁ…ほら、準備手伝ってあげるからさ」
こんな風に、マイペースな璃威と世話好きの俺、樹威はいつもつるんでいた。
俺的には、ほんわかしてる璃威といると心が和むから好きだ。
俺はあいつのことをいつも気にかけているし、1番理解してやれている自信がある。
それが理由なのかは分からないけど、あいつは俺になついていたと思う。
俺も璃威のことを受け入れていたけど、別に付き合ってる訳じゃなかったし、周りも“兄妹みたい”って言ってるくらいだった。
あいつはそういう風に言われていることを面白がっている。
「お兄ちゃん」
だなんて呼んできた時には驚いたけど、嬉しかったりもした。
でも、俺が
「これからも璃威のお兄ちゃんでいるからな」
って言ったら
「何変なこと言ってるの?樹威は樹威でしょ!」
って言われっちまったんだよな。
俺はそんなことを言われて少し傷付いた。
だけど、家の事情のせいで養子に出された璃威に、このことを言えるわけがない。
“俺達は本当の兄妹なんだよ”
飲み込んだ言葉の墓場
――それは、俺の心の内。