(GHS)オールキャラ、NL
□僕からの応援ジャッジ
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「助けてくれ!なぁ!!」
なんで?
「どうすればいい!?教えてくれぇ!!」
うるさいな。
「頼む!!だってお前は____」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ねぇゴールドさん。なんで審判は半人前なんです?」
「ん?」
最後のジャッジを終え、本でも読もうとソファに腰掛けた時、いきなり投げかけられた質問にゴールドは首を傾げた。
黄金だらけの眩い部屋の中、ボーイは目を細めることなく真剣にゴールドを見ている。
「言葉の通り、彼が半人前だからだ。」
「そうでしょうか・・」
ボーイはゴールドの目を真っ直ぐ見て反論する。
「ぼくは審判のジャッジを受けたことがあります。他の人をジャッジしている所も見たことがある。・・でも、とても何かが欠けているとは思えません。」
なにより・・、とボーイは言葉を続けた。
「ぼくが今こうしているのは、審判のあのジャッジがあったからです。」
その言葉に、ゴールドの眉がぴくりと動いた。
ため息をつき、読みかけた本を再度閉じる。
「なけなしの勇気を振り絞ってもがいていたぼくの背中を押してくれたのは、紛れも無い審判です。ぼくはあのジャッジのおかげで・・」
「そのジャッジが嘘でもかい?」
「・・・・え?」
ボーイの言葉を遮るように、ゴールドは口を開いた。
唖然としているボーイに、向かいのソファに座るように指示する。
ボーイは指示された通り、ソファに座った。
「彼が君に下したジャッジ、あれは嘘だよ。」
「ど、どういうことですか!?」
「すまないが、弟子のジャッジした内容は全て黒子から報告がくるようになっていてね。その中に君の話もあった。」
カチャリ、とゴールドは眼鏡をかけなおして話を続けた。
「私の天秤に出た君の結末はこうだ。進むごとにつれ、増えてゆく敵にあらがうことに疲れた君は永遠にこのホテルを逃げ回り続ける。これが真実だった。」
「でも、なんでぼくは・・。」
「それは君が希望を捨てずにあらがい続けたからだ。確かにそのスイッチのひとつに私の弟子がからんでいるとすれば、彼のしたことは善ということになる。」
「なら・・」
「しかし!」
と、ゴールドはまたボーイの言葉を遮り、言葉を続ける。
「それは今回だけの話。私たちは悩める者に真実を告げる存在。どうするかは裁きを受けた後のその者次第だ。偽りを伝えることは、かえって運命を悪い方向へと導くおそれがある。」
「・・・審判が嘘をつくのは、いつものことなんですか?」
「いや・・、今回が初めてだ。彼が何を考えて嘘をついたのか解らない。」
すっ、と不意にボーイが立ち上がった。
「・・ありがとうございました。もう行きます。」
「あの子のところに行くのかい?」
ドアの前まで歩を進めたボーイは振り返らずに答えた。
「はい、聞きたいことが山ほどありますから。」
「また嘘をつくかもしれないよ?」
「彼が嘘をついているかどうか、今のぼくなら解ります。」
「・・そうか。」
「では・・」
「あー、ちょっと!」
「?」
「あの子に、今日の訓練こそ遅れないように、と伝えておいてくれないか?」
「はい、解りました。」
「ありがとう。では、また。」
パタリと扉を閉め、ボーイは下の階へと続く階段を目指した。