(GHS)同性愛もの
□好きな子ほど
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「うーん・・・何処にいったんだろう・・」
ホテルの廊下。
普段は見ない珍しい人影が動いていた。
「あれ?審判、どうしたの?」
何かを探す審判に、その場を通りかかったボーイが不思議そうに尋ねる。
「ボーイ、僕の帽子見てない?」
「帽子??あ、いつもかぶってるやつ?そういえば今日はかぶってないね。」
「うん。寝てる間に何処かにいっちゃったみたいなんだ。」
「寝てる間に・・、って一人でに何処かにいくワケが無いし・・。もしかして、盗まれたとか?」
「そうなのかな?」
「何か心あたりないの?」
「うーん・・・・、別に僕は誰の恨みもかってないと思うんだけどなぁ・・。」
審判はうーと唸りながら考え込む。
「あれ?ねぇ審判!あれ!」
「え?」
ボーイが指差した先にはジェームスが。
しかも審判の帽子を持っていた。
「あ、ボーイおじちゃん!審判と二人で何やってんの?」
「ジェームス!それ審判の帽子じゃないか!」
「うん、そうだよ!借りてるんだ!」
「借りてるって・・、僕は貸した覚えは無いんけどなぁ・・・;」
「ジェームス、審判が困ってるみたいだから返してあげなよ。」
「やーだね!キャハハハ♪」
ジェームスは無邪気な笑いをあげて一目散に逃げ出した。
「あ、ちょっとジェームス!!」
「行っちゃった;またこのパターンか・・・」
「また?」
「うん、前にもお風呂に入ってる時に眼鏡をとられたんだ。もう前は見えないし訓練に遅れるして散々だったよ。」
「うーん、なんなんだろうね;」
ジェームスの行動はいつも予測ができないだけに、ますます訳がわからない。
ボーイと審判は困ったように首を傾げた。
「えぇえいっ♪」
「うわぁぁぁあ!!」
いきなり声を上げた審判にボーイが驚く。
審判の後ろには帽子を持ったジェームスがいた。
「冷たっ!なんでいきなりシャツの中に手を入れたりするんだい!?」
「くすくす、知らなーい♪」
「な、なんだいそれ?;」
「じゃーねー♪」
「あ、ちょっと待ってよジェームス!!ご、ごめんボーイ!またね!!」
「あ、うん!」
再び走り出したジェームスを慌てて審判が追いかける。
その様子をボーイは唖然と見ていた。
「ふんふんふーん♪」
「あ、ジェイムス・・・・・ちょっと、その眼鏡。」
「どう?ボーイおじちゃん!似合う?」
「それ審判のだろ!?返してあげないと審判が困るじゃないか!」
「いいよ、別に。」
「君がよくても審判が・・・!」
「だってそのためにやってるんだもん。」
「・・・・・・・・・え?」
「ジェームスー!また君なんでしょ!?僕の眼鏡返してよー!」
「あはは!もう追いついちゃったんだ♪じゃあそろそろ行くね!」
「まっ、待てよジェームス!!」
「あ、言っておくけどボーイ。」
「・・・・???」
「審判はボクのだから。今度二人っきりになったらボーイも敵ってことにするから。・・・許さないからね。」
「え??」
「じゃあね!」
「ちょっと、それどういう・・・!!」
言い終わる前にジェームスの姿はもう無かっ
た。
後に残ったものは、微かな疑問と、ちょっぴりの確信だった___。
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end.