人魚恋捕物帳
□外伝壱
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「オーイ!お前らんなとこで何してんだよ?」
『、淡島?』
「チッ」
「え?イタクさん俺なんかしましたか?;;」
淡島の登場は正直助かった、来なかったらヤバかったのは事実だがさっきの舌打ちみたく空気詠めとも思った
『どうしたんだ淡島?』
「あ、そうだ!空見ろ空!!」
『空?・・・流れ星か』
「そうそう!それ教えにきたんだよ」
淡島が指差した先、夜空には星が降り注いでいた無数の星が流れ落ち消えてはまた流れる空がいつも以上に輝いていた。
『綺麗』
「オイ、立ち上がるな落ちるぞ」
その流れ星に興奮した香撫が勢いよく立ち上がった子供みたいにそんなに幅のない木の枝じゃ落ちてしまいそうだ。そんな香撫の腕を引き座らせて抱き寄せた、腰に腕を回し後ろから抱きしめる姿勢で流れ星を見た
『コレなら願掛けし放題だな』
「バカでねーの、何星に願うんだよ」
『いっぱい出来るからまだ決めてない』
「バカだろおめー」
普通ならこの体制を恋仲でもない男にとらせたりしない、でも香撫はそれを良しとしたその心理は一体どういうものなのか?俺を無害な弟と踏んだか、それとも―――。
「(何期待してんだ俺は)」
がしがしと頭をかいて前を見て驚いた、目の前に香撫の顔首だけ振り返ってこちらを見ている
「どうした?」
『何か一人で悩んでるみたいだから気になった』
「悩んでねーよ」
『イタクは隠し事したい時目瞑って右手で右耳の上触るんだぜ?』
「はぁ?」
何だそれ俺はそんな事はしてない、第一何でそんな事知ってんだよ本人は多分不意識でんな事覚えてねーのに。
『分かるよ、イタクの事見てんだから(ボソ)』
最後の方は何を言ったか聞こえなかった、香撫の顔はほんのりと赤みを帯びて桜色に染まっていた。
「(んな反応すんなよ)」
淡島からは見えていないのかさっきからしきりに話しかけてくる、やれ星がやれ落ちてくるだ。そんな事を口走っていた
「すげー!!」
流れ星に願掛けなんてしなくても自力で願いは叶えてこれたから必要ないと思ってた、でも今思うこの感情は相手あってこそ自分の意思と努力だけじゃ叶わない願い。なら星に願掛けも悪くないかもな?
「(この感情を香撫が俺にも抱いているように)」
『(イタクと両思いになれますように)』
そんなこっそり願った、ある星の綺麗な夜だった。