人魚恋捕物帳

□其の弐
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森に生い茂る木々の間を通り抜け町へと出るもう夜なため人は居ない静寂な世界で何かが光ったそれは雷のように鋭く耳が痛くなる位の音を放っている



『おーおー派手に引っかかってるねー』



「あれがお前が言う罠か?」



『そう、馬鹿な奴だ〈アイツ〉じゃ扱えないのに』



香撫の呟きにイタクは首を傾げた、だが気づけば遠くで鳴っていた雷が段々近づいてくる。20メートル10メートル5メートルもう肉眼で確認することができるそこには雷に焼かれ嫌な臭いを放つ男が居た。ドロドロの体を引きずりかっと見開かれた目がこちらを見ている



「オイ、アレは何だ何であんな事になってんだ!」



イタクは焦ったまさか香撫が言う罠とはこれなのか、イタクの問いかけ香撫がゆっくりと答えた



『雷爪ってのはね〈神の加護〉なんだそんなもん人間には扱えない』



「ならアイツは人間なのか?」



『人間だが普通の人間じゃない』



「なに」



『アイツは陰陽師だ元はな今は違う才ある者に恐れ自分にも力が欲しいと思ったんだろう妖怪から宝刀を盗んだはいいが扱いきれず飲まれたって訳だ』



「待てならお前が言った三日ってのは」



イタクは震えた目の前の人魚は全部知っててできた事をしなかったのだ奴良組の若頭が聞けば怒り怒鳴りそうな事を平然とやっていたのだ



『三日ってのは雷爪に飲まれるまでにかかる時間だ、飲まれればああやって雷に焼かれ体が溶け自我を失い狂うだが同時に体に宝刀の意思が宿る』



「宝刀の意思?」



『持ち主の元に帰ろうとする意思だ』



そう今男がこちらへ向かってくるのは宝刀の意思により主の元に帰ろうとしてるのだ、どんどん無くなってく体目にするのもぞっとする光景だ



『本当はもっと早く回収する予定だったでも、間に合わなかった』



「お前」



その間にも無くなる体、それを見て悲しそうな色を見せる香撫は男に近づいたその手にあった雷爪を己が手に取れば雷は止み男は倒れこんだ



「宝刀の雷に当たったんだ即死でしたよ・・・」



『ああ、それでももっと早く見つけてやれてればな』



倒れた男は風に吹かれて灰となって消えていく跡形もなくなった地面から空に視線を向けて雷爪の奪還は終わった



『手間をかけさせたなイタク』



「いや、次からは盗まれないよう見張っておく」



イタクの言葉に香撫は首を傾げたもう遠野からは出て行く遠野の妖怪は誰にも付いて行かない盃も交わさないのは知っていた



「行く場所がないなら居ればいい」



『・・・そうだな、それもいいかもな』



「ああ」



最初は残虐な女かと思った、でも男が消えた時の泣きそうな顔で印象は変わった心優しい女でもそれを素直に言えない不器用な女そんな女だから、側に置きたいと思ったんだ



 
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