人魚恋捕物帳

□其の壱
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奥州遠野一家、土地は極寒妖怪は極悪極強の3Gだと妖怪の間では恐れられる遠野一家だそんな恐ろしい場所に現れたのは何の力も持たない一人の女だった。名を香撫と言うその女は両側が腰の辺りまで避けた着物を着ておりお供と思われる赤毛の男と女に肩車された幼い娘を連れている。



「香撫−もう歩けませんよ、諦めましょうよ」



赤毛の男が泣き言を言いながら香撫の肩を叩いた身の丈180はある男に泣き言を言われても聞き入れる気にはならない肩車している幼子なら聞き入れたかも知れないが香撫はそれに対して膨大なため息をといた



『天馬、大の男が泣き言を言わないでくれ。華々を見なよ大人しいくしてるじゃない』



「華々は肩車されてるだけじゃないですか!」



『子供なんだからしょうがないだろ、我侭言うな』



天馬は不満そうに香撫を見るがその視線を無視して歩き出したその様子を木から眺めていたのは遠野の隠れ里に住む鎌鼬のイタクだった、彼は話の内容を聞き彼らが遠野を探している事は明確だ不意に天馬が声を上げた



「やせ我慢しないであの人に聞きましょうよ!」



「なっ」



天馬が指差したのはまさに今イタクが身を隠している大木だった、彼の事だから勿論気配は消していたにも関わらず天馬はそれに気づいた。恐らく香撫も気づいているのだろうムスッとして天馬に振り返る



『馬鹿いいな、一度来たことがあるのに場所を聞くなんて恥ずかしいじゃない』



「そう言ってもう2時間は歩いてますよ?」



『・・・・・』



「もう」



呆れたように呟き頬を膨らませてもやはり可愛くない、イタクはそれを眺めていたが不意にすぐ隣から聞こえてきた声にその身を強張らせ警戒を強めた



「あ、怪しい者じゃないんです!僕ら赤河童さんに用事があるんです」



「赤河童様に?」



赤河童と言えば遠野の大将だその大将に用事とは一体なにか、怪しい実に怪しい・・・そんな思考が読めたのだろう香撫は頭をかきながらイタクを見据えた



『人魚が来たと赤河童に伝えてくれ、それで分かるはずだ』



「人魚?」



その単語に聞き覚えがあった前に赤河童が言っていた自分の知り合いに人魚がいると、それは美しい女なのだが口が悪く恐ろしいほどの方向音痴だと懐かしそうに話していた



「・・・ついて来い」



イタクはそれに当てはまった香撫にそう伝え木から木へと身軽に進んでいく天馬はそれを見て一旦地面に降りると香撫を担ぎイタクの気配を追った。ずんずんと進んでいくとばっと視界が開けそこには遠野の隠れ里があった



「ほら−もっと早く聞いてたら2時間も歩かなくて済んだのに」



『うるさい』



そのままイタクについて行けばそこに赤河童の元で中に入ると赤河童が目を細めて珍しい者を見るようにしていた



「いやいや実に珍しい客だ、お前が最後に来たのはぬらりひょんが来る少し前じゃったかのお」



『久しいな、アンタとこうして話すのは』



赤河童はうむと頷くと後ろのイタクに気づいたここまで連れてきたのだろう一方的に話す天馬に呆れていた



「イタクに道を聞いたか、あいかわらづの方向音痴のようじゃな」



『ほっといてくれ、それで赤河童本題に入りたい』



急に真剣な顔になった香撫に赤河童も真剣な顔になる騒いでいた天馬も押し黙る重々しく香撫の口が動いた



『しばらく住まわせてくれないか?』



 
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