発熱注意な鎌鼬
□キャンディー大作戦
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3月14日、冷羅は俺の前に現れこう言った
冷羅「バレンタインに爽花からチョコをもらったならお返ししないといけないのよ?」
イタク「お返し?」
冷羅「人間で言うならチョコのお返しにお菓子や物を贈るのよ、飴なんかが昔は本命へのお返しだったけど今はそんな事知ってる子のがすくないんじゃないかしら?」
イタク「飴ねぇ、人間は暇だなそんな行事ばかり考えて」
冷羅「元々お菓子会社の戦略だからね?売れればいいってのがいつからか一大イベントになったって感じね」
イタク「詳しいな、オイ」
しかし、もらったからには返さないといけないな。アイツも手の込んだもんくれたし・・・飴玉なんざ買うしかないし第一俺が菓子なんて作るとか薄気味わりーしな。
イタク「(ならどうすっかな)」
遠野じゃ洒落たもんはない、なら人里まで出ないといけないし面倒だが行く事にした。人に紛れないといけないって事はこの格好ではダメだ目立ち過ぎる。
イタク「たしかこの辺りに」
前にリクオの修行を見に行った時になんかよこして来たな「母さんがサイズ間違えて昼の俺にはでかい」ってじゃーじとか言うのを取っておいてよかったこれくらいしかこの時代の服持ってねーし。
「よし、行くか」
誰にも見られないように伸張に里を抜け出し人里に下りていく、菓子屋は多いがどこも飴はなかったあっても子供向けのものばかりで見当たらない。そんな時見つけたのはガラス瓶に入ったキラキラ光飴玉の詰め合わせ丸い大粒のそれは宝石みたいだった
イタク「これくれ」
店員「はーい」
奥から出てきて俺から瓶を受け取った店員はニコニコしながら「プレゼント用ですか?」と聞かれたので「あぁ」と答えると瓶を包みだした。薄い桃色の布か紙かよく分からない物で包み天辺で赤いリボンを結んだ。
イタク「これもくれ」
店員「かしこまりました」
なんでこの店にこんなもんがあるのかは知らないがとりあえず買っておいた、多分アイツは目を輝かすだろうものだから
『イタクー!何処行ってたの?探したよ』
里に戻れば木の上から勢いよく飛び降りてきた爽花、猫だからか軽々と着地しておれに駆け寄ってきた
『にゃ?何で人間の服着てるの?』
耳をピクピク動かして尋ねた爽花は肩や髪やらをクンクンと匂い出した
『む、人間臭い』
イタク「人里に居たからな」
『イタクが人里?珍しい』
イタク「ん」
『にゃ?』
イタク「やる」
俺から包装された瓶を受け取った爽花はその赤いリボンを解き中の飴玉を見た、不思議そうにしていた顔がみるみる輝いていく
『飴だ!きれー!!』
ぴょんぴょん飛びながら瓶の中の飴を眺めている、緑に桃色だいだいに青いろんな色がキラキラしたそれにはしゃぎ回る爽花だった
イタク「前のお返しだ」
『お返し?』
イタク「チョコくれたろ?」
そう言うと爽花は二本の尻尾をくるくる回しながら嬉しそうに瓶を抱きしめた
『イタクありがとう!!』
そんなに高価な物でもない飴玉にそんなに喜べるのは爽花くらいかもしれない、貰った気持ちが嬉しいと目の前の猫は言っていた、その喜んだ顔が嬉しいなんて俺も随分ベタ惚れのようだ。
(これは土産だ)
(はう!マタタビ!!)