人魚恋捕物帳
□其の四
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「お前、起きて」
『天馬の気配がしたからな、アイツの気配は禍々しいからな嫌でも分かる』
体を起こしてイタクの肩に手を置く膝の上にいるため今はイタクを見下ろす形になってる香撫は小さく笑った大きく丸い赤い瞳が細くなるイタクの髪に指を通してそれを指に絡める
『前髪下ろすと雰囲気違うな』
「お前もな」
いつも結んでる髪は大泣きして抱き寄せられてる時に解けてしまったのか腰まである長い髪にイタクは手を伸ばした金髪の細い髪は見た目どうよう手触りも柔らかい。
『昔はイタクみたいに真っ黒だったんだぞ?』
「そんな風には見えないけどな」
『本当だって』
「ふーん」
触れていた長い髪を口元に持ってきたイタクはそれに口づけた、そして髪から手を離し後頭部に手を添え自分に引き寄せた。額、瞼、鼻、頬、首筋、そして唇に口付けをした
『んっ』
角度を変えて唇を割り深く絡みつく舌、獣のように噛み付くようにキスをする貪るように食らわれるそんなキスを繰り返す内に段々苦しくなる息人魚と言ってもエラ呼吸なんてできないから苦しくてイタクの肩を押した
『ぷはっ、苦しい//』
「人魚なのに肺活量少ないな」
『肺活量は関係ないから』
「息吸ったか?」
『まぁ』
「よし」
イタクは確認をするとまた香撫にキスをした歯を立てられてほんの少し痛いくらキスに体が熱くなる心臓がうるさくて適わない
『んんっ』
「ん・・・」
くちゅりと舌が絡まる水音が夜の静寂に溶け込んで闇に消えていった。そんなキスからようやく開放された香撫は顔を赤らめていた息ができずに苦しかったのかへなりとイタクに寄りかかった
「だらしねーな、こんくらいで」
『うるさいな、変態』
「誰が変態だ」
まったくとイタクは呟けば香撫を抱きしめた甘い臭いがするとすんすんと鼻を動かしながら香撫にすり付く
『臭うな・・・//』
「別にいいだろ、香撫」
イタクに名前を呼ばれたのは初めてな気がしたいつもお前とかオイとかそんなのばかりだったからだ香撫は少し驚いたように顔を上げた
「この先のお前の時間、お前は俺の背中から離れるな」
『え?』
「守ってやるって言ってんだ、分かれよバカ」
『・・・うん』
不器用で素直じゃなくて気が強くて大事な事を言うのに相当な勇気がいる恥ずかしがりやで言葉にするのが億劫なのだ
『でもちゃんと言葉にしてくれなきゃ分からないよ』
「・・・」
『・・・』
「・・・俺はお前と一緒になる、お前より先に死なない殺されない約束だ。だからお前も約束しろよ俺から一生離れないって」
『うん、約束する』
「お前は守られていればいい、弱い妖怪なんだから」
『弱い弱い言うな』
「事実だろ?人魚なんて海から出れば無力なんだからよ」
『あたしには雷爪がある』
「それが無けりゃただの女だ」
『酷いな』
「うるせー」
『イタク、好きだよ』
「分かったから」
『それだけか?』
「・・・俺も好きだ//」
顔を赤らめて恥ずかしいのか照れてるのか手の平で顔を隠しその指の間から香撫を見たその表情はいつものへらへらした感じではなく柔らかくて優しい表情をしていた