人魚恋捕物帳

□其の参
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香撫が遠野の里で暮らすようになりもうすぐ三月経とうかとした頃イタクがよく香撫を目で追う姿が見られ始めていた最初香撫が人魚だという事もあり鼬の彼はそれを美味そうだと見ていたのかと思っていた淡島だがどうも違うみたいだ。目で追いはするがじっと見ている訳ではなく少し見ただけですぐに視線を逸らし少しばかり頬を赤らめている



かと思えば思えば香撫に話しかけられるとそっけない態度で顔を逸らし香撫にバレないように照れくさそうに鼻の頭をかいてる仕草も見うけられる、たまに鍛錬に身が入ってないなんて彼らしくない事までしてしまう始末だ。



「僕もあんなテンプレートなツンデレは初めて見ました」



「つんでれ?」



淡島の隣で美味しそうに饅頭を食らう身の丈180はあろう男天馬が言った言葉に淡島は首を傾げた天馬はもう何個何十個目かの饅頭を口に掘り込むとそれを飲み込み自分の指を舐めながら淡島を見た



「人間の間で言われてる性格の現し方ですよ、例えば褒められたり好きな異性と話してる時に顔を赤らめたりどもったりする子の事を照れ屋さんっていうでしょ?」



「ああ」



「ツンデレってのは簡単に言うと素直に感情を表せない好きなのに素っ気無い態度して気のない素振りをするくせに何かの拍子に本音を言ったり、簡単な説明をしたらイタクみたいなののことです」



「あー何か分かる気がする、ん?待てよそれだとイタクは香撫に惚れてることになるぞ?」



「え?そうですよ?」



「へ?」



「遠野の里で知らないのは淡島と香撫くらいですよ?」



「えぇー!!!!」



淡島は天馬から語られた驚愕の事実に叫びを上げた、無理もない里一の美女に言い寄られても無視(というか興味ない)してたようなイタクが恋をしてるなど長い付き合いの淡島も驚きを隠せないでいた



「さっさと告白すればいいのに、純情ぶっちゃって」



「待て待て!もし告って振られたらイタクはどうなんだよ!」



「大丈夫ですよ」



やけに自信満々に話す天馬は腹を壊すんじゃないかとこちらが思うほど未だに饅頭を食っていたまだ食うのかと見ているだけで気分が悪くなる感覚を抑えながら淡島は天馬を見た



「何とかなりますって、それに−−−−。」



天馬が何を言ったのか聞き取れなかったが淡島は何故か大丈夫な気がしていた。天馬のように確信はないがなんとなくでもそう思えた。



 
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