人魚恋捕物帳
□其の弐
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騒がしい遠野では珍しくないがこの組あわせは珍しい
「口の悪いガキだな!」
「バーカ!バーカ!」
今まさに睨み合っていうるのは淡島と香撫が連れていた幼子の華々だ何でも魚が網にかかったと言って天馬とイタクを連れて行く際ちょうどそこにいた淡島に面倒を見ておいてくれと頼んだのだ
「何で風呂に入れるだけでこんなに苦労しなきゃいけねーんだよ」
「淡島も大変ね」
そんな淡島を見てクスクスと楽しげに笑っているのは冷羅だった、冷羅は腰を屈めると華々に目線を合わせた冷羅は優しげな笑みを浮かべ口を開いた
「香撫が自分じゃなくてイタクを連れてったから拗ねちゃったのね」
「・・・」
淡島に対する態度に比べて随分大人しい子供は頭ごなしに怒鳴っても言うことを聞かない冷羅はよく分かっていた特に今は拗ねているから余計にだろう
「華々はまだ小さいから怪我させたら嫌なのよ、だからいい子にして香撫の帰りを待ちましょう」
「・・・うん」
「いい子ね、じゃあ淡島にごめんなさいしてお風呂に入ってらっしゃい」
「ごめんなさい」
「しゃーねぇな、さっさと風呂入るぞ!」
淡島は冷羅の子供の扱いの上手さに驚くばかりだった。歩き出した淡島の後ろを付いて歩く華々を横目にイタク達は一体何処に行ったんだろうと夜空の月を仰ぎ見た
「早く帰ってこねーかなー、なぁ華々」
「ねー」
さっきまでのいがみ合いは何処へやら仲良く手なんて繋ぎながら風呂場へ向かい歩いていたのを冷羅は微笑ましく眺めていた