anniversary☆book

□ふざけたいお年頃
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「一に気をつけ、二にならえ、三四に引いて五に発射ーーーっ!!」



ズドムッ!



「っおほぉおおーーーーーーっ!!!?」




5年長屋に、竹谷の悲鳴が響き渡る。悶絶しながら床を転げ回る竹谷の側でケラケラ笑うのは同じく5年生の尾浜勘右衛門だ。




「あははははっ!ハチその顔超ウケる!!」



「ばっ、バカ野郎!いきなり何すんだ!出ちまうだろぉっ!?」




顔を赤くしたり青くしたりと忙しい竹谷をひとしきり笑った勘右衛門はごめんごめんと謝りながら辺りをキョロキョロと見渡した。



「ねぇハチ。雷蔵知らない?」



「雷蔵……?裏庭で見掛けたけど…………って、まさか雷蔵にもソレやるんじゃないだろーな?」



「もちろん!だって5年でまだしてないの雷蔵だけだもん。」



「……え。兵助と三郎にもやったのか!?」



にこやかに笑う勘右衛門にある意味尊敬の眼差しを送る竹谷。って言うか、あの二人が浣腸くらって悶絶する姿が想像できない……。




「まぁ、ここまで悲鳴あげてのたうち回ったのはハチだけだけど。」



「うるせーほっとけ!」



殴りかかって来そうな竹谷をヒラリとかわし、勘右衛門は裏庭へと足を向けた。もちろん目的は雷蔵!




「あーもーっ!……大事にならなきゃいいけど。」




走り去る勘右衛門の背中を見送りながら、深いため息をつく竹谷だった……。

















処変わってここは裏庭。


勘右衛門は目的の人物を見つけようとキョロキョロしながら歩いている。しばらく散策していると、前の茂みがガサッと揺れた。


「………………ん?…………あ。」



近づいて覗いてみれば、茂みに上半身を突っ込み四つん這いでこちらに尻を向けている人物がいるではないか。



(あの袴の色は5年の…………。雷蔵で間違いない!)




勘右衛門は気配を消し距離を詰める。そして、その無防備な尻に竹谷の時と同じように指を突き立てた。



「隙ありーーーっ!!」


ズンッ





「っ!?ひぁ、んっ!!」


「っ!!?」




茂みの奥から上がった艶やかな喘ぎに勘右衛門はドキリとする。それと同時に血の気が引くのを感じていた。



(…………やばい、この人、雷蔵じゃない!)



あきらかに雷蔵より低めの声。



動揺して動けないでいる勘右衛門をよそに、人間違いで浣腸された憐れな人物がのそりと這い上がる。ガサリと茂みから現れた顔に、勘右衛門は失神しそうになった。



(ま、まさか…………よりによって……!)




「な……なか、ざ、いけ、せんぱ、い…………っ!」




茂みから現れた長次は外出用の私服を着ていた。いつもなら、似合ってますね〜なんて暢気に言えるのだが、今は喉が張り付いたみたいに声がでない。




(や、ヤバい……!殺される!!)



「せ、先輩っ、俺…………っ!」



恐怖で固まった身体を叱咤し口を開いた勘右衛門に、長次は手を伸ばす。




「むぐーーーーっ!?」



大きな掌で口を覆われ、まさか窒息死させるつもりなのかと背筋を凍らせもがいた。しかし、その時






「頼むから……静かにしてくれ尾浜。小平太たちに見つかる…………。」



耳元で囁かれた言葉に、尾浜はピタリと動きを止めた。耳元に当たる熱い吐息で心臓が跳ね上がる。大人しくなった勘右衛門に安心し、長次の手が外された。


「ケホッ………………七松先輩、ですか?」


息苦しさから解放され、多少咳き込みながら長次を見上げる。相変わらずもそもそと呟かれる小さい声を拾おうと、自然と二人の距離が近くなっていく。




「小平太だけではないが…………。あいつらは、加減というものを知らない……。」



はぁ、と深いため息をつく長次に、何がと問おうとして勘右衛門はあることに気づく。


「……先輩、ここ赤くなってますよ?虫にでも噛まれたんですか?」


勘右衛門に首筋を指差され、長次は視線を逸らしつつさりげなく掌で覆い隠す。



「これは…………」



「それは私たちが愛し合っているという印だ!」


「「っ!?」」





長次の言葉を遮った第三者の声に、二人とも肩を跳ねさせた。ガサガサと二人が隠れている茂みをかき分けて現れたのは、長次と同室の七松小平太だ。


「こんなとこにいたんだな長次。後輩を連れ込んで何をシてたんだ?私たちだけじゃ足りなかったのか?さっきまであんなに突っ込んであげたのに。」



不敵に笑いながら小平太が長次の前にしゃがみこむ。勘右衛門も薄々会話の内容が読めたのか、目を見開いて長次を見つめた。




「小平太…………。尾浜のいる前で、その事は………………。」



「何で?別にいいじゃん。長次が淫乱なのには変わりないんだから。ほら、仙ちゃんと伊作がまだヤってないって拗ねてるからさ、長次ちゃんと責任とらなきゃ。」



グイッと長次の腕を引き、小平太が歩き出す。腰に力が入らないのだろう、それでもヨロヨロと歩を進める長次に勘右衛門が声を掛けようとした。が、しかしにこやかに小平太に遮られる。



「……尾浜。不破に今日長次は委員会に出られなくなったって伝えておいてくれ!」



(そ、それってつまり…………っ!)


これから長次に降りかかる災難に気付いてしまった勘右衛門は頭を抱えて絶叫した。


「え、えぇえええーーーーーーーーーっ!!?」







































「ーーーーーーっていう夢を見たんです。」




「はぁ?」




いきなり自室に飛び込んできた勘右衛門に、悪夢を見たと泣き付かれた長次は面食らった。何事かと思えば…………というか、なんて夢見てんだ。




「だって、だってぇ〜!先輩は俺のなのにっ、七松先輩たちとそんなことしてるなんてっ、夢の中の出来事だったとしても許せないーーーっ!」



「…………勘右衛門。心配しなくとも、小平太とはそんな仲では…………。」




「う、嘘だぁ!だって、こんなに可愛い先輩が喰われないわけないもん!ホントは毎晩先輩たちに抱かれて悦んでるんだぁ!」


えぐえぐと涙を流す勘右衛門に、長次は小さくため息をつく。学年も違えば委員会も違う。お互い実習などですれ違いが続き、十数日会えないのなんて今に始まったことではない。それでも……



「阿呆。私に突っ込んで悦ぶのはお前だけだ。」



涙を拭ってやりながら、長次がふと微笑む。




「私とお前は恋仲だ。私を好きにしていいのも、お前だけなんだからな、勘右衛門。」



「せ、先輩……っ!」



「でも、あまり放っておかれると…………それが正夢になるかも……。」




「そっ、それはダメーーーーーーっ!」



普段は自分に気を使ってなかなか手を出してこない勘右衛門。寂しい思いをさせた罰だとばかりに長次は意地悪を言ってやった。でも、あまり不安にさせるのも憚られるので、これくらいにしてやろう。






「…………勘右衛門。私は今日、委員会無いんだ……。だから…………。」



「っ、はい!今夜は目一杯可愛がって差し上げます!!」





こうして、二人の夜は更けていくのだった。







〜END〜



はい!ギャグでも襲い受けでもない中途半端な勘長でした!


このカプも予想外でした……。まさかここまで登り詰めてこようとは……っ!恐るべし。



何が書きたかったのか自分でもよく分かってないというね……。前半部分を夢オチですまそうとか強行手段にもほどがある(^q^)



では、勘長への投票&コメありがとうございました!






 
 

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