NOVEL

□ちゃんと言わせて
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小平太×男の娘長次









この日、六年ろ組は授業の一貫で街に来ていた。二人一組で任務をこなすというものだったので、小平太は長次と組むことにした。




「長次、遅いなぁ。」



待ち合わせの茶屋に来ない長次に、小平太は心配になった。長次は、絶対に時間は守る。もしや、何か事件に巻き込まれたのでは…………。



探しに行こうと立ち上がりかけたその時。




「……………………小平太。」



茂みの方から長次の声が聞こえ、小平太はそちらに歩を進めた。





「遅かったな!ちょう……………………じ?」






長次の格好を見た小平太は、驚いてポカーンと口を開けた。




「……………………あんまり、じろじろ見るな。」





そこには、女装した長次がいた。




小平太は、つい見とれて立ち尽くしていたのだが、長次は呆れられたと思ったのだろう。数歩うしろに下がり、逃げようとする。




「ま、待って、長次!!」



長次の袖を掴み、おろしてある髪を一房掬った。







「ちょ、長次………………。あの、その………………っ!!



可愛い、キレイだ、と言いたいのに言葉にならなくて小平太は俯いた。












そんな小平太を見て、長次は困ったように呟いた。



「小平太…………。無理に褒めようとしなくていい………………。」




「えっ!?違っ…………!!」



悲しそうな長次の声に、慌てて顔を上げるがすでに遅く。



長次は小平太から離れ、とぼとぼと先を行ってしまった。





(私の、バカ………………。)




次は、ちゃんと言おう。


そう心に誓う小平太だったが、長次が女装することは二度となかった………………。













ーーーーーそれから数百年後


20××年、平成。



ここ、大川学園では学園祭が開催されていた。



「小平太!サボってないで呼び込みしてこい!」



2年2組の七松小平太は、学級委員の命令に唇を尖らせた。


「ええー。めんどくさい!」



「バカタレ!顔と体力だけが取り柄のお前に唯一出来ることだろうがっ!」



頭を叩かれた小平太はしぶしぶ教室から出ていく。



渡り廊下を抜け、1年の教室に赴いた小平太は、黄色い歓声を受け、愛想を振りまく。



「良かったら2年の校舎にも来てね〜。」



と、自分のクラスの宣伝をしていると、バレー部の後輩に呼び止められた。



「七松先輩!俺らのクラスにも寄ってって下さいよ!」



「良いけど…………何その格好。」




後輩はメイド服を着ていた。お世辞にも似合ってるなんて言えない。



「俺たちのクラス、女装喫茶やってるんです。」




小平太は顔を引きつらせた。こんなのがわんさかいる喫茶店なんてご遠慮したい。





「七松先輩、思いきり顔に出るタイプですよね。でも、すごいのもいるんですって!立花っていうヤツなんですけど、もう女顔負けって感じでーーーーー。」




テンション上がりまくりな後輩に腕を引かれ、小平太はカオスに足を踏み入れた。















「先輩!アイツが立花ですよ。ウチのナンバーワンっす。」



後輩が指差す方を見れば、確かに綺麗な男子がいる。


しかし、小平太はその隣の人物に目を奪われた。



特別美人というわけでもない。背だって自分より高いし、両頬に大きな傷が目立っている。なのに、何でこんなにも、目が離せない………………。



小平太は、ほぼ無意識に歩きだし、その人物の腕を掴んだ。



「っ!?」



驚いて目を見開くその顔を見つめた。初めて会うはずなのに、すごく懐かしい。




「あ、あの………………?」



低めの小さな声が、頭の隅に引っ掛かる。




言わなければ…………!



頭のなかで、その言葉が響いた。








「………………可愛い。」




「…………………………………………え?」

















「すごく、可愛い。キレイだ…………。」




「あ、んた。何言って…………。」



髪を一房掬い、口づけた。回りからどよめきが聞こえる。


された本人は、口をパクパクさせ頬を真っ赤に染めていた。






「中在家くんて、言うんだ?」




ネームプレートに書かれた文字を指でなぞった。下の名前を聞こうとしたその時。




「長次に気安く触れるな!」




パシンッ


例の立花とかいうヤツに手を叩かれた小平太は、我に返ったように顔を上げた。


「長次………………って、いうんだ?」




小平太に見つめられた長次は、顔を赤くしたままフリーズしている。




「………………、また、来るな長次!」



ニカッと笑った小平太は踵を返し自分のクラスへ帰って行った。





「もう来るなっ!!伊作、塩を持ってこい!………………長次、大丈夫か?」





心配げに見上げる仙蔵に、長次は小さく頷いた。





(どうしよう………………。)





初めて会った男に、可愛いなんて言われて気持ち悪いはずなのに。





(何で、嬉しいなんて、思うんだろう。)





ずっと、その言葉を聞きたかった。




そう、頭のなかで小さな声が響いた気がした。






end





意味わかんない出来に。すみません!



ツインテ長次描くの楽しかったです!



転生した皆に記憶は無いんですが、長次と小平太はお互い魂が覚えている的な。


小平太・文次郎・留三郎は2年、長次・仙蔵・伊作は1年の設定です(*^^*)


長次に、「先輩」と言わせたかったんですが、隙間がありませんでした(´・ω・`)

しかも、留三郎出し忘れたし(*´ー`*)












 





 

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