NOVEL

□潮江先生と中在家さん
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文次郎×長子(現パロ) 元拍手文












3月。それは巣立ちの季節。



ここ、大川高等学校でも無事卒業式が行われた。




数学担当教師の潮江文次郎は、卒業証書を片手に下校していく生徒達を窓から見つめていた。自分の教え子達が巣だって行くのは、嬉しくもあり寂しくもある。



「……………………いねぇな。」



目的の人物がまだ校舎から出てきてないことに気づき、文次郎は廊下に出た。


その人物も、今日卒業を迎えた生徒だ。受け持ちのクラスの生徒ではないのだが、文次郎にとっては少し特別な子だった。



思い当たる場所へと向かうべく、文次郎は歩を進めた。













第一図書室。



鍵が開いているのを確認し中に入ると、予想通りそこにいる人物に声を掛けた。




「何、やってんだ?中在家。」



「潮江先生………………。」




小さな声で呟き振り返るその子の名は中在家長子。図書委員長を務めてきた女生徒だ。本の未返却常習犯の文次郎は、たびたび彼女の世話になっていた。




「何だ。名残惜しくて残ってたのか?」



からかうように言う文次郎に長子は首を横に振った。




「違う…………。先生を、待ってた。」




じいっと見つめられ、文次郎はたじろいだ。


「本なら、全部返したぞ。」



「そうじゃない。そうじゃなくて…………。」



長子はぎゅうっと文次郎の上着の裾を握りしめた。







「先生…………。好き。」



「っ!!」



「この学校に未練はない。でも、先生に会えなくなるのは、すごく、悲しい。」




文次郎は高鳴る動悸を押さえ込み、首を振った。



「俺は、生徒には、手を出さない。」



「もう、生徒じゃない、よ。」




泣きそうな顔をする長子に胸を痛めながらも、文次郎は尚も拒絶する。




「それでも。無理だ。お前をそんな対象としては見れねぇ。」




今まで生きてきた中で、最大の嘘をついた気がする。本当は、初めて見た時から気になっていた。本だって、読むわけでもないのに毎日のように図書室に通った。


本当は、好きで好きで堪らないんだ。

中在家が俺と同じ気持ちで嬉しい。ホントに嬉しすぎる。

ここで頷けば、欲しくて欲しくて堪らなかった子が手に入るのに。


それでも、文次郎は頷けなかった。長子の将来を思えば、頷けるわけ、ない。



これから先、自分よりマシな男が現れるかもしれない。その時を思うと嫉妬で狂いそうになるけれど、きっと時間が経てばこの想いも薄れる………………。




文次郎にハッキリと拒絶された長子は、その大きな瞳からポロポロと涙を溢した。



長子に触れそうになる腕を押さえながら、文次郎はドアに向かって踵を返した。




ダメだ。これ以上そばにいたら、決心が揺らぐ。


そう思い、歩き出す文次郎だったがピタリと立ち止まった。長子が後ろから抱きついてきたのだ。



「離せ。中在家。」



「い、や。………………先生が私のこと、好きじゃないのは、分かった…………。」




ぎゅううっと腕の力が強まる。小刻みに震える長子の腕を剥がそうと手を掛けたその時。




「だから、最後に………………思い出を下さい。」



「っ!?」



「一回だけ…………。今だけで良いから、私を、愛して…………先生っ。」



その言葉に文次郎は振り返り、長子を腕の中に閉じ込めた。




「バカタレ。人が、せっかく、諦めようと決心したってのに…………っ!」




「せ、んせ………………?」







「…………………………後悔、しないか?」






文次郎の言葉に長子は目を見開いた。そして、ようやく頭がその意味を理解し頬を赤く染める。



「しないよ………………。だって、好きな人とするんだもの。」




くしゃりと笑う長子の涙を拭ってやり、文次郎はドアの内鍵をガチャリと閉めた。




















長子を膝の上に乗せ、徐々に制服を剥ぎ取っていく。首筋や鎖骨にキスマークを付けてやりながら、さらりと零れる髪を撫でた。




長子の太ももに手を添えながら、文次郎はもう一度問う。





「本当に………………良いのか?もう、止めろって言っても、途中で辞めてやれないぞ。それでも………………、」





「いいよ。大好き、潮江先生。」










微笑む長子に文次郎はときめく。




「…………………………、文次郎って呼べ。………………長子。」



クスリと笑う長子を、文次郎はゆっくりと押し倒した。









end





10000hitアンケでコメ頂いてた文次郎×長子の現パロです(*^^*)


この後の展開としては、二人は付き合い始めます。文次郎は隠し事出来ないので、すぐに同僚(小平太・伊作・仙蔵・留三郎)にバレます。長子を気に入っていた彼らにボコボコにされながらも交際は続き、長子が大学卒業と共にプロポーズ→結婚。的な。


どこまで続くの私の妄想(笑)















 

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