NOVEL

□Enjoy MAKAI Life
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これは、魔王長次がまだ魔界にいた頃の、愉快な使用人達のお話ーーー。














「あっ、いたいた!ヘースケ、ハチザ!ちょっとこっちに来てー!」



自室からひょっこりと顔を出したカンエモンが二人を手招きする。


「あー!お前、やっと出てきたのか!ったく、3日も部屋に立て込もって何してたんだよ!」


眉を吊り上げてハチザが文句をたれた。隣のヘースケも頷く。


「チョージ様が心配なされていたぞ。早く顔を出して来い。」


「えっ!ホントに!?俺ってば愛されてる〜……じゃ、なくて!チョージ様の所へ行く前に、二人に見せたいものがあるんだって!!」



魔王様第一主義のカンエモンがチョージ様を後回しにするとは…………。二人は思わず顔を見合わせた。早く早くと急かすカンエモンに仕方なく従う。



「言っとくけど、俺らも暇じゃないんだからな!しょーもない用件なら承知しねーぞ!」


渋々部屋の中へと入ったハチザとヘースケ。その瞬間、













「おほーーーーーーーーーっ!!!?」




ハチザの叫び声が館中に響いた。



「ハチザうるさい。………………でも、これは中々…………。」



使用人の中では一番冷静なヘースケも驚愕の表情を浮かべる。




二人の目の前に現れたのは、エナメル生地のボンテージに身を包んだ女版魔王様の蝋人形(?)だった。





「すごいでしょ、すごいでしょ〜!これを3日で仕上げた俺マジ天才!」



得意気に胸を張るカンエモンに、二人は頷くしかなかった。どっからどう見ても生きているようにしか見えない。しかも……



「…………カンエモン、もしかしてこれは、チョージ様成長後を予想して……?」



「うん!ぜっったいチョージ様はこんな感じに……いや、これ以上に成長なさるはずだよ!」



ヘースケが驚くのも無理はなかった。目の前の魔王様人形は、本物よりいくらか年上で、背が伸び、手足も伸び、今でも大きなバストが更に特盛になっている。表情も今の童顔と違い大人びて、こちらを見下す瞳がゾクゾクするほど冷たい。



「このクビレも超セクシーでしょ?俺がずっと付けてる『チョージ様成長記録』から計算、統計をとった結果……500年後くらいには、こんな感じになられてるはずだよ。」



「お前…………!そんなことに頭使うなよ……っ!」



ちゃらんぽらんに見えて意外に知能指数の高いカンエモンだった。しかも、ここまで再現できる技術力も底が知れない。





「驚くのはまだまだ早いんだから!実は………………。」



勿体ぶるカンエモンにハチザとヘースケは少しイラッとしつつも、ゴクリと唾を飲んだ。










「感触も本物そっくりなんでーす!」



「「ktkrーーーーーーっ!!」」




人形の後ろに回り、ムニュウッと後ろから乳を鷲掴みにするカンエモン。指のくい込み具合がイヤにリアルだ。


まさか…………と思いつつも、ヘースケは恐る恐る人差し指でツンとつついてみる。



ぷにっ



「ーーーーーーーーーっ!」



その柔らかな肌触りにヘースケが硬直した。意外にウブらしい。



「ま、マジで…………!?じゃあ、俺も……!…………わ、わわわっ!ブーーーッ!!」







むにっと片乳を鷲掴み、興奮冷めやらぬハチザはとうとう鼻血を噴いた。






「わーっ!気を付けてよハチザ!鼻血で汚さないでよね!それに、これはまだ完成品じゃないんだ。」



「「え?」」



「ヘースケ、俺が頼んでたの、用意してくれた?」



「ん?ああ……。実はそれを届けようと思って、カンエモンの所に向かってる途中だったんだけど…………。まさか、これ……。」



言いながらヘースケが取り出したのは、少し大きめな首輪。それを嬉しそうに受け取り、カンエモンが魔王様人形の首に飾り付けた。



「おほー…………、確かに淫靡さが増したけど…………これで完成?」


首を傾げるハチザに、ヘースケとカンエモンは顔を見合わせてニヤリと笑った。



「そんなわけないだろうハチザ。俺を誰だと思ってる。」


「変態豆腐狂…………っ痛てぇ!ツノっ!刺さってる!!」



すごく真面目に答えたハチザに鉄槌が下される。



「もーっ!ハチザ、いいからよーく見てなよ!」



カンエモンが首輪に取り付けられた飾りに触れた。すると…………












『…………私の足下に跪け、醜いブタめ。』





「……………………………………。」





『無様な姿を晒してみせろ、この家畜野郎!』





「……………………………………っ、ぉおほぉおおおおーーーーーーーーーっvvV!!!?」




ハチザの歓声が大地を揺るがした。




「何!?何なのお前ら!超天才!サイコー!俺、お前らと仲間でほんっっっとーーーに良かった!ありがとうございます!ありがとうございます!」



涙と鼻血を流しながらハチザが歓喜する。



3人は肩を抱き合って喜びを分かち合った。

























「……………………………………………………。」





万歳をしている3人を遠目に魔王チョージは佇んでいた。



ずっと引きこもっていたカンエモンが心配で来てみれば、開け放たれたドアに気づき。気になった魔王は、一部始終をずっと見てしまったのだ。





魔王は、廊下に置かれた古時計の針を見つめた。魔力が戻るまで、あと10秒。







「ハチザ、ヘースケ!ココの作りも見てみたくない?」



カンエモンの手が、魔王様人形の貞操帯に伸ばされる。



………………あと、5秒……。




眼帯を外しながら、チョージは3人の元へと歩を進める。



さて、あの3人をどうお仕置きしてやろうか。



魔王の口許がニヤリと歪んだ。








館中が憐れな3匹の魔獣の悲鳴で包まれるまで…………あと、2秒。










ーENDー



なんか、すみません(・・;)読み返して謝りたくなりました(^q^)



でも、こんなお馬鹿な家族大好き(笑)




 
 

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