NOVEL
□恋とは突然始まるモノです
1ページ/1ページ
「はにゃ〜!?ナメ次郎がいない〜っ!!」
「どうした、喜三太!」
「け、食満先輩〜!!ナ、ナメ次郎がぁぁ〜!!!」
「お、落ち着け!一緒に探してやるから!」
「あ、ありがとうございます〜、せんぱ〜い。」
「せんぱ〜い。どこから探しましょう?」
「そうだなー、この広い学園の中をやみくもに探すのもな…。」
「…………………食満。」
「お!長次!何やってんだ?」
「……………文次郎のトコ行ってた。……食満と山村は?」
「中在家せんぱ〜い。僕のナメ次郎見ませんでしたか〜!?」
「…………………?」
泣きつく喜三太の頭を撫でながら、長次の頭に?マークが飛ぶ。
「喜三太のナメクジがいなくなったんだよ。」
「…………あぁ。………なら、アレを辿っていけば良いんじゃないか?」
「「アレ???」」
長次が指差す先を見遣れば、廊下にテラテラ光る線が1本走っている。そう、まるでナメクジが這った後のような…………。
「「って、あああーーーっ!!!!!」」
跡を辿ってみると、そこは1年は組の教室。
ガラッ!
「「ナメ次郎ーーーっ!!」」「……………………。」
「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」
突然教室に飛び込んできた喜三太と6年生2人に、は組のよい子たちは目を見開いた。
何故6年生が!!!?
一人は武闘派で有名で、だけど下級生には優しい食満留三郎。
もう一人は、学園一無口な中在家長次。同じ委員会のきり丸は良いとして、あまり接点のない1年生には近寄り難い先輩だ。
「中在家先輩!?何してんスか?」
きり丸が長次のもとに走り寄る。
「…………………ナメ次郎。」
「ナメ次郎?あぁ、また居なくなったんっスね。」
「そうだ。この教室にいるのは間違いないんだけどな!」
長次ときり丸の間に食満が割り込む。
「………俺、中在家先輩と話してんスけど?」
「そうか、そうか〜。そりゃ悪かったな〜!」
食満ときり丸の間に火花が散った。
「……………???」
そんな2人を暫し眺めていた長次だったが、
ポトリ…
「…っ!!!ひぅっ!!?」
天井から落ちてきた何かが制服の中に入り込み、背筋を撫でながら落ちていった。
「っどうした!?長次!!」
ちょっと艶を含んだ長次の悲鳴にドキッとしつつ振り返る。
「っあ!け、まっ!せ、背中にっん、何か入って…っと、取ってぇ!」
「わかった!ちょっと待ってろ!!!」
ずぼっ!
衿口から勢い良く、手を突っ込む。
「ひぁあっ!?ちょ、どこ触って…!!!っんぅ……!」
「わ、悪い!!…こ、ここか!?」
「ぅ…!んぁ、そ、そこ…じゃない!もっと奥…!」
「……っここ!?」
「っ!ぁあ……っ!やだぁっ、奥に、入っちゃ…っうぁ!」
「じゃあ、こk「先輩、上着を脱いだほうが早いと思います。」
黙って見ていた庄左ヱ門が冷静にツッコんだ。
「ですよねー!」
長次の上着を取り去ると中から出て来たのは…
「ナメ次郎〜〜〜〜っ!!!」
行方不明のナメ次郎だったらしい。
「ありがとうごさいます!食満先輩〜!中在家せんぱ……。」
「「「「「「「「「「???」」」」」」」」」」
言葉を途中で切って、軽く息を呑んだ喜三太につられて視線を向ける。
「ぶっ!!!」
食満が鼻血を噴いた。
そこには…
ヘンな声を出してしまい、恥ずかしさで頬を染める長次がいた。上着を脱いでいたため、袴の股立から太ももが見えており、腰骨も浮き出て艶っぽい。
ポカンとしている喜三太の目線に合わせて屈み込み、頭を撫でた。
「……………見つかって、良かった。」
小さく微笑み、踵を返す。
鼻血が止まらない食満を引きずり教室を出て行った。
後に残された、は組のよい子たちはしばらく動けずに、今まで長次が居た場所を見つめた。
「……中在家先輩ってさ。」
「うん……。」
「結構カワイイね。」
「ねー。」
呟き合う子供たちは皆、赤い顔をしていた。
翌日
「食満せんぱ〜い!昨日はありがとうございました!」
「ん?あぁ、良かったな無事見つかって。」
「はい!…………………ねえ、食満先輩?」
「うん?どうした?」
「中在家先輩って、かわいいですよね〜!」
「!?あ、あぁ…。そ、だな。」
何だか嫌な予感がする……。
「うふふ〜!僕、中在家先輩のこと好きになっちゃいました!」
「っ!!!?」
「よ〜し!頑張って中在家先輩に似合う男になるぞ〜!ぁ、中在家先輩だ〜!!!」
せんぱ〜い!と長次の元へ走り寄る喜三太を呆然と見送る。
長次の腰にしがみつき、頭を撫でてもらっている喜三太はとても嬉しそうだ。誰の目を気にすることなく抱き着けるのは下級生の特権だな、と羨ましく思う。
気づけば、他の1年生も集まってきていた。皆、喜三太と同じく、なのだろう。
ああ…。ただえさえライバルが多いのに……。
新たなライバル出現に頭を抱える食満だった。
〜END〜
喜三太→長っていうか、
食満→長次←1は?
喜三太好きです。今度、成長喜三太×長次書きたいカモ。