NOVEL

□恋とは突然始まるモノです
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「はにゃ〜!?ナメ次郎がいない〜っ!!」


「どうした、喜三太!」


「け、食満先輩〜!!ナ、ナメ次郎がぁぁ〜!!!」


「お、落ち着け!一緒に探してやるから!」


「あ、ありがとうございます〜、せんぱ〜い。」











「せんぱ〜い。どこから探しましょう?」


「そうだなー、この広い学園の中をやみくもに探すのもな…。」

「…………………食満。」


「お!長次!何やってんだ?」

「……………文次郎のトコ行ってた。……食満と山村は?」


「中在家せんぱ〜い。僕のナメ次郎見ませんでしたか〜!?」

「…………………?」

泣きつく喜三太の頭を撫でながら、長次の頭に?マークが飛ぶ。


「喜三太のナメクジがいなくなったんだよ。」


「…………あぁ。………なら、アレを辿っていけば良いんじゃないか?」


「「アレ???」」

長次が指差す先を見遣れば、廊下にテラテラ光る線が1本走っている。そう、まるでナメクジが這った後のような…………。
「「って、あああーーーっ!!!!!」」










跡を辿ってみると、そこは1年は組の教室。

ガラッ!

「「ナメ次郎ーーーっ!!」」「……………………。」


「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」


突然教室に飛び込んできた喜三太と6年生2人に、は組のよい子たちは目を見開いた。

何故6年生が!!!?

一人は武闘派で有名で、だけど下級生には優しい食満留三郎。
もう一人は、学園一無口な中在家長次。同じ委員会のきり丸は良いとして、あまり接点のない1年生には近寄り難い先輩だ。



「中在家先輩!?何してんスか?」

きり丸が長次のもとに走り寄る。

「…………………ナメ次郎。」

「ナメ次郎?あぁ、また居なくなったんっスね。」


「そうだ。この教室にいるのは間違いないんだけどな!」

長次ときり丸の間に食満が割り込む。


「………俺、中在家先輩と話してんスけど?」

「そうか、そうか〜。そりゃ悪かったな〜!」


食満ときり丸の間に火花が散った。


「……………???」

そんな2人を暫し眺めていた長次だったが、

ポトリ…

「…っ!!!ひぅっ!!?」


天井から落ちてきた何かが制服の中に入り込み、背筋を撫でながら落ちていった。

「っどうした!?長次!!」


ちょっと艶を含んだ長次の悲鳴にドキッとしつつ振り返る。


「っあ!け、まっ!せ、背中にっん、何か入って…っと、取ってぇ!」


「わかった!ちょっと待ってろ!!!」

ずぼっ!


衿口から勢い良く、手を突っ込む。


「ひぁあっ!?ちょ、どこ触って…!!!っんぅ……!」


「わ、悪い!!…こ、ここか!?」


「ぅ…!んぁ、そ、そこ…じゃない!もっと奥…!」


「……っここ!?」


「っ!ぁあ……っ!やだぁっ、奥に、入っちゃ…っうぁ!」


「じゃあ、こk「先輩、上着を脱いだほうが早いと思います。」

黙って見ていた庄左ヱ門が冷静にツッコんだ。

「ですよねー!」





長次の上着を取り去ると中から出て来たのは…

「ナメ次郎〜〜〜〜っ!!!」

行方不明のナメ次郎だったらしい。


「ありがとうごさいます!食満先輩〜!中在家せんぱ……。」
「「「「「「「「「「???」」」」」」」」」」


言葉を途中で切って、軽く息を呑んだ喜三太につられて視線を向ける。

「ぶっ!!!」
食満が鼻血を噴いた。



そこには…

ヘンな声を出してしまい、恥ずかしさで頬を染める長次がいた。上着を脱いでいたため、袴の股立から太ももが見えており、腰骨も浮き出て艶っぽい。


ポカンとしている喜三太の目線に合わせて屈み込み、頭を撫でた。

「……………見つかって、良かった。」


小さく微笑み、踵を返す。

鼻血が止まらない食満を引きずり教室を出て行った。








後に残された、は組のよい子たちはしばらく動けずに、今まで長次が居た場所を見つめた。


「……中在家先輩ってさ。」

「うん……。」

「結構カワイイね。」

「ねー。」


呟き合う子供たちは皆、赤い顔をしていた。
















翌日

「食満せんぱ〜い!昨日はありがとうございました!」

「ん?あぁ、良かったな無事見つかって。」


「はい!…………………ねえ、食満先輩?」


「うん?どうした?」

「中在家先輩って、かわいいですよね〜!」

「!?あ、あぁ…。そ、だな。」
何だか嫌な予感がする……。


「うふふ〜!僕、中在家先輩のこと好きになっちゃいました!」

「っ!!!?」


「よ〜し!頑張って中在家先輩に似合う男になるぞ〜!ぁ、中在家先輩だ〜!!!」


せんぱ〜い!と長次の元へ走り寄る喜三太を呆然と見送る。

長次の腰にしがみつき、頭を撫でてもらっている喜三太はとても嬉しそうだ。誰の目を気にすることなく抱き着けるのは下級生の特権だな、と羨ましく思う。
気づけば、他の1年生も集まってきていた。皆、喜三太と同じく、なのだろう。

ああ…。ただえさえライバルが多いのに……。


新たなライバル出現に頭を抱える食満だった。



〜END〜

喜三太→長っていうか、

食満→長次←1は?

喜三太好きです。今度、成長喜三太×長次書きたいカモ。
 

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