NOVEL
□行き着く先はいつも貴方
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「七松先輩!三之助がいません!!」
「潮江先輩ー、神崎先輩がいなくなりました!」
委員会活動のよくある光景。
3年ろ組の方向音痴コンビが委員会活動の最中に行方不明になるのは今に始まった事ではない。
そして、体育委員・会計委員が2人を捜すのも、いつもの事。
しかし最近、よく見かける『いつもの事』が増えたのだ。
「あ!!三之助ー!それに左門も!捜したんだぞ!!」
「「ごめんなさーい」」
見つかる時はいつも2人同時で。
「悪いな長次。うちの委員が世話になったな!」
そしてなぜか、いつも長次が2人の手を引いて現れるのだ。
――――――――――――――
長次はその日、町にお使いに出ていた。委員会活動を任せてきた後輩達に土産の饅頭を買い、さて帰るか、と思い振り返った先に見覚えのある制服が目についた。
(……あれは、体育委員の……?)
いつも、いけいけどんどーんな同級生に振り回されている後輩は、腰に巻き付けてある紐が途中で切れていた。今日は裏々山でマラソンだと言っていたから、おそらくその途中で迷子になったのだろう。しかし、裏々山からこんな町中に現れるとは、相当な方向音痴っぷりである。
「………次屋…。」
「あ、中在家先輩ー!!」
とりあえず、迷子なら学園まで連れて帰らなければ、と声をかけた。
「良かった〜、マラソンしてたら皆とはぐれてしまって、知らない町に出ちゃうしで……、先輩に会えて安心しましたー。」
迷子なのに、のほほ〜んとした態度に脱力してしまった。
と、その時
「あぁ!!三之助ーっ!!!」
ものすごい勢いでこちらに走ってくるのは、会計委員の……
「左門ー!」
これまた方向音痴の3年生、神崎左門だった。私服なところを見ると、お使いで町に出てきたのだろう。…こちらも迷子縄が途中で切れている。完璧迷子だ。
「中在家先輩!こんな所で会えるなんて…っ!こっちに進んで良かったー!!」
知っている先輩に会えて安心したのか、左門はニコニコと嬉しそうだ。
「………帰るぞ。……っ!待て、どこに行く気だ………。」
学園へと歩き出した途端、左門と三之助がバラバラの方向に歩き出した。恐るべき方向音痴。
「…………ほら。」
一つ溜息をつき、2人に両手を差し出した。
「学園に着くまで、私の手を離すな……。」
「「はい!!中在家先輩!」」
頬を赤く染め、嬉しそうにしがみついてくる2人に思わず笑みがこぼれる。
それがきっかけなのか何なのか、学園の外に出る度に迷子の2人に出くわすようになった。そしていつもの様に手を繋いで帰るのだ。
――――――――――――――
「………お前達、本当は中在家先輩のいる所がわかってて、わざと迷子になってるんじゃ……。」
作兵衛はずっと気になっていた事を2人に尋ねてみた。2人の長次に対する気持ちを知っていたから疑いたくもなる。
「そんなわけないだろ!」
「ホントに偶然だよー…ただ、」
ただ、本能の赴くままに進めばそこには必ず長次がいるのだ。これは、まさに
「「愛の為せる業…だな!」」
「はぁあっ???」
最初は偶然だと思った。迷子になった先で、大好きな先輩に会えてラッキーだな、なんて。
でも、こんな頻繁に起こるから。もう、これは運命なんだって最近は思うんだ。
僕等が行き着く先はいつも愛しい貴方のところ
〜END〜
意味わかんなくなっちゃいましたね…。ごめんなさい